《衆院選2024 激戦区を行く》茨城5区 「浅野VS石川」3度目火花 鍵握る労組外・保守票
衆院選公示から初の週末となった19日、激戦区の一つ茨城5区の候補者は、街頭や集会を精力的に回り支持を訴えた。3度目の対決となる国民と自民の前職2人が激しい接戦を展開し、共産新人が懸命に追っている。 【5区】(届け出順) 千葉達夫 42 共産 新 浅野哲 42 国民 前(2) 石川昭政 52 自民 前(4) 国民前職、浅野哲氏(42)は日立市内を中心に演説に立ち、午後の決起集会には約300人(陣営発表)が参加。「国民のための政治を取り戻す」と強調し、「年収の壁」引き上げなどの政策を訴えた。 日立製作所労組出身で労働界が全面支援するが、近年は組合員減少が課題となり、区内の日立グループ組合員は現在約7千人。このため組織外に支持を広げようと地域で培った人脈で票の上積みを図る。浅野氏は「変化を望む有権者の期待は感じる」と手応えを語り、応援に入った榛葉賀津也幹事長も「党にとって茨城5区は北関東の牙城。選挙区勝利がマスト」と語った。 前回比例復活の石川昭政氏(52)も、大票田の同市内で演説を重ねた。ガソリン代補助などの実績を示し「本当に厳しい選挙戦。5区から自民党の火を消してはいけない」と訴え、派閥裏金事件についても「無派閥議員の中心として、党をたたき直す」と改革の先頭に立つ覚悟を示す。 党の支持団体・企業から支援を受けるが、県内の自民候補では唯一公明の推薦を得ておらず、保守層の票固めに懸命だ。夕方には総裁選で支えた高市早苗前経済安全保障担当相が来援し、約1200人(陣営発表)を前に「すぐにでも経産大臣として活躍できる人材」と支持を呼びかけた。 共産新人の千葉達夫氏(42)は同市内のスーパー前を中心に街頭演説。労働時間の短縮や賃上げ実現などを掲げ「格差や貧困の解消へ暮らし最優先の政治にしたい」と訴える。 選挙区内には日本原子力発電東海第2原発(東海村)が立地し、候補者の中で唯一、廃炉を主張。「再エネ普及の流れに逆行する」と再稼働反対の立場を鮮明にする。陣営は「従来の共産支持層は堅い」とみる一方、「無党派層への広がりが弱い」と分析。「自民党への不満を持つ人は多い」とした上で派閥裏金事件を「組織的な犯罪」と指摘し、政権批判票の受け皿として支持拡大を図る。
茨城新聞社