福島第1原発デブリ初回収 本格取り出しへ分析 手法や保管先…課題山積
東京電力は7日、福島第1原発2号機から溶融核燃料(デブリ)を試験的に取り出す作業を完了したと発表した。デブリの回収は原発事故発生後初めて。今後はデブリの取り出し手法や保管方法の検討に向け、性状などの分析を進める。原発事故から13年半余りが経過する中、1~3号機合わせて880トンあると推定されるデブリの本格的な取り出しに向けた一歩を踏み出した。ただ、今後の本格的取り出しに向けた手法や構内でも保管先が決まっていないなど、課題は山積している。 東電によると、7日は午前9時10分ごろに作業を開始した。作業員がデブリの採取装置を格納している構造物の側面扉を開放し、5ミリ程度の小石状のデブリが入った運搬容器を取り出した。同日午前11時40分ごろにコンテナに収納し、「グローブボックス」と呼ばれる密閉された分析装置に運び込んだ。回収したデブリは3グラム以下とみられる。8日にかけて重量や放射線量などを測定する。
東電は今後、デブリを茨城県の日本原子力研究開発機構(JAEA)大洗研究所に輸送し詳細を調べる。この他3カ所の研究機関と協力し、1年程度かけてデータをまとめる。具体的には、重量や表面の元素分布、事故時の炉内温度や冷却状況、成分や核分裂の連鎖反応が続く臨界の可能性などを確認する。2025(令和7)年度までに2号機でロボットアームを使った試験的取り出しにも着手する方針で準備を進め、順次取り出し規模を拡大する。 東電は、当初の計画から約3年遅れで今年8月22日に取り出しに向けた準備作業を始めたが、装置を押し込むパイプの並び順の誤りが判明。9月10日に着手したものの、採取装置に搭載された2台のカメラが10月に不具合を起こし、中断した。カメラを交換して10月28日に再開し、1週間余りで作業を終えた。