鎌倉の立秋の夜を彩る約400個のぼんぼりがズラリ! 幻想的なカマクラナイトを堪能できる日本遺産「鎌倉ぼんぼり祭」
鎌倉・鶴岡八幡宮ぼんぼり祭は毎年8月の立秋の前日から9日まで開催されていますが、2024年8月の立秋の日は7日なので6日に夏越祭が執り行われました。ぼんぼり祭は夏越祭のほかに7日に立秋祭、9日に実朝祭が行われますが、本稿では夏越祭の報告となります。ぼんぼり祭は鎌倉市が誇る日本遺産です。 【写真】俳優やスポーツ選手、文化人が描いた個性的なぼんぼりを見る(全16枚)
鶴岡八幡宮を400個のぼんぼりが占拠する歴史ある祭
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で従来にも増して注目を集めた鎌倉。JR横須賀線・鎌倉駅から若宮大路に出て、大路中央を南北に走る段葛(だんかずら)は二の鳥居から北に進んだ鶴岡八幡宮まで続き、2022年開かれたぼんぼり祭では、出演された俳優ら関係者が揮毫したぼんぼりが並び、ドラマ同様の盛り上がりを見せましたね。翌年の2023年の同夏越祭でも、関係者の手によるぼんぼりが鎌倉の夜に色を添えました。 ぼんぼり祭りはもともとは鎌倉に訪れた海水浴客に鎌倉文化を親しんでもらうために、昭和13年(1938年)に鎌倉文士らがつくった鎌倉ペンクラブのメンバーが中心となり、ぼんぼりを並べたことがきっかけだそうです。その後、昭和17年に8月9日を実朝祭の日と決定してから立秋の前日、立秋の日と8月9日をつなぐ一連の祭儀となりました。
鎌倉の夜を彩るぼんぼりと本宮、舞殿の灯の美しさ
夏越祭は15時頃から夏の邪気を祓う神事が源氏池のほとりで行われたあと、参道で茅の輪くぐりを行い、健康を祈願します。本宮の大石段前の舞殿では雅楽が披露され、巫女により夏越の舞が奉納されます。夕暮れ6時半になると参道や流鏑馬馬場の両側、舞殿周りに鎌倉にゆかりのある文化人、著名人が描いた約400点のぼんぼりに巫女さんたちが点灯し、境内は幻想的な雰囲気に包まれます。 ぼんぼりの点灯は、まず鶴岡八幡宮の宮司さんの揮毫から始まります。順次多くの作家&文化人、俳優、スポーツ選手、芸能人をはじめ、ぼんぼりに火が入れられ、訪れた同祭ファンや、観光者がお気に入りのぼんぼりを見つけては写真に収めていました。 一人ひとりが筆に想いを込めたぼんぼりは、やはり人を惹きつける力がありますね。鎌倉殿の13人の脚本家・三谷幸喜氏やミュージシャンのMIWAさん、イラストレーターのわたせせいぞう氏ほか、ラグビーの五郎丸歩氏、プロ野球横浜DeNAの牧秀悟選手と三浦大輔監督、サッカー界からは岡田武史元日本代表監督、俳優の秋吉久美子氏や、竹中直人氏、最近では鎌倉のエッセイを上梓された星野知子氏などなど。 夜の帳が下りると再び舞殿で演舞が始まります。同八幡宮の大鳥居から太鼓橋と続く参道と、一直線に本宮まで伸びるぼんぼりの列と舞殿と本宮が灯す橙色の灯は整然として、なお美しく多くの来訪者が境内を埋め尽くしていました。舞殿の演舞を楽しみに大石段に座り込む見学者が段を埋めて高みへ段を上げていく様はほのぼのしくありました。 翌日の立秋祭では夏の無事を感謝し、実りの秋の訪れを奉告し、神前に鈴虫をお供えします。そして9日の実朝祭では俳句会、短歌会が行われ同八幡宮内にある白旗神社に献上され、日本遺産の祭は幕を閉じます。
ソトラバ編集部