佐野移籍後の札幌戦で見えた鹿島の変化。ボランチで先発した柴崎岳はどんな影響をもたらしたのか
まだ周囲とかみ合わない場面もあったが...
鹿島のボランチの主力だった佐野海舟がドイツへ渡った。7月4日、マインツへの完全移籍が発表された。 【PHOTO】雨のカシマスタジアムに大声援を轟かせた鹿島アントラーズサポーター! 昨季に鹿島に加入し、27試合に出場。今季も21節までに20試合に出場し、緊急時はSBやCBに対応するなど、チームにとって欠かせない選手だった。 7月6日に行なわれたJ1第22節・札幌戦は、佐野の退団後初めての公式戦。結果は師岡柊生と藤井智也のゴールで2-0の勝利を収めた。 札幌戦の布陣は、これまで通りの4-2-3-1。GKは早川友基、DFは濃野公人、植田直通、関川郁万、安西幸輝、MFは柴崎岳、知念慶、樋口雄太、名古新太郎、師岡柊生、FWは鈴木優磨。佐野が務めていたボランチに柴崎が入った。 そして、ゲーム運びには小さくない変化があった。 これまでハイプレスでハイインテンシティのテンポの速いゲームを続けていた鹿島にとって、広いエリアをカバーし、インターセプトやセカンドボールの回収でひと際輝きを放っていた佐野が不在の札幌戦は、攻守の切り替えがスムーズにいかない場面もあった。 それでも、先発した柴崎の影響で、違った良さも出てきた。 柴崎は、まだ周囲との連係はいまひとつで、前半は鋭い縦パスを送っていたが、受け手の動き出しとかみ合わないシーンも少なくなかった一方で、無得点で迎えた後半は、やや前掛かりになるシーンでボールを握ってチームを落ち着かせるなど、上手くゲームをコントロールする場面も見られた。 また、豊富な経験を活かして、周囲に絶え間なく指示を送るなど、リーダーシップも発揮していた。 2点差を追いつかれて引き分けた19節の浦和戦後に、ランコ・ポポヴィッチ監督は今後の課題に、「ピッチ上での状況判断」「頭を使うこと」「効率の良いプレー」を挙げた。 攻撃志向が過熱し過ぎてカウンターを食らうことも少なくなかったチームにとって、札幌戦の柴崎は、指揮官が足りないと感じていたものを補うようなプレーを見せたとも言える。 佐野の移籍は痛手ではあるが、柴崎が舵を取るチームもまた見応えがありそうだ。 取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)
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