アリスよ、永遠に 谷村新司さん追悼コンサート「言葉にできない思いを託して」 世代超えつながる歌
【＆w連載】坂本真子の『音楽魂』
シンガー・ソングライターの谷村新司さんが74歳で亡くなって、10月8日で1年。「アリス」が再びステージに集結しました。9月18日に日本武道館で行われた「ALICE FOREVER ～アリガトウ～」と題したコンサートでは、メンバーの堀内孝雄さん、矢沢透さんを中心に21曲を演奏し、谷村さんも「登場」。AG世代（40代と50代）を含む約7800人が、アリスのハーモニーやヒット曲を満喫しました。 【画像】もっと写真を見る（3枚）
会場が暗くなると厳かな鐘の音が鳴り響き、舞台の奥に白いペガサスの絵が浮かび上がります。矢沢さんがドラムスの前に座り、ギターを持った堀内さんが観客に一礼してから、「冬の稲妻」でコンサートは始まりました。 「今はもうだれも」までを1人で歌い終えた堀内さんは、「たった2曲でこんなに疲れるのか……」とつぶやいて笑いを誘いつつ、「みなさん、こんばんは。アリスです。今日は谷村新司追悼の思いを込めて、僕らは精いっぱい歌いたいと思います」とあいさつしました。 堀内さんがドラムスの矢沢さんを紹介した後、「僕らの永遠のリーダーです。谷村新司！」と叫ぶと、舞台奥に過去のライブ映像が映し出され、谷村さんが「登場」しました。客席からはひときわ大きな拍手と歓声がわき起こりました。 映像の谷村さんは、「改めてメンバーを紹介します。ボーカル・ギターの堀内孝雄！」と紹介。堀内さんは「こうやって紹介されると……胸がいっぱいでございます」と、自らに言い聞かせるように話しました。 ここからは主に、2022年11月に東京・有明アリーナで開催され、3人による最後のステージになった50周年記念ライブ「ALICE GREAT 50 BEGINNING 2022」で歌う谷村さんの映像が、舞台奥の画面に投影されます。このときの谷村さんの歌声と、実際の舞台で行われるバンドの演奏がシンクロ。舞台上の堀内さんと映像の谷村さんとのハモりも以前と全く変わらず、違和感なくハーモニーを楽しめました。 とはいえ、直後の「BURAI」では、笑顔で客席を見つめる谷村さんの姿に、観客は少ししんみりした様子。私も胸が熱くなりました。同じ画面に並ぶ3人のうち、現実に存在するのは2人で、もう1人は過去の映像……。会場の誰もが不思議な心地だったのではないでしょうか。
