【ウインターカップ直前特集】福岡大学附属大濠の片峯聡太コーチ「個々の強みを、チームとして繋げる」
「最初に手を挙げて『俺がやるぜ』という人に」
──選手への接し方、言葉の掛け方で意識していることはありますか? どの選手にも一日一回は何らかの言葉のキャッチボールをすることを意識しています。学校生活とバスケットコートでは、私は敢えて切り替えるようにしています。例えばバスケのことで私に叱られることがあっても、コートを離れれば普通に接しますし、勝ち負けを学校生活には持ち込まない。それはそれ、これはこれ、というメリハリをできるだけ付けるようにしたいです。特に1年生だと、コートで怒られたら学校でも私が通ると避けるような子もいて(笑)。でも私は全部が全部ダメという厳しい性格ではなく、バランスを取って物事を進めていきたいタイプです。良い意味での緊張感はあるべきだと思いますが、私との会話は上級生になるにつれて良い形になっていってほしいですね。 ──バスケにしろ学校生活にしろ、この年代の子たちにどこまで主体性を求めますか。 家庭環境もバスケの環境もあるので一概には言えません。人それぞれですね。失敗は良くない、間違うことが恥ずかしいという環境で育った選手たちは、失敗を恐れて自分から飛び込むことがなかなかできません。できてないことを隠したりごまかすこともあります。ただ、それまでの環境や境遇を否定するわけにはいかないので、まずは「この子は今そういう状態なんだ」というのを見極めて、それぞれにニュアンスや言い方を変えたりしながらアプローチしています。 失敗をすることを前提に無茶苦茶やるのは違うので、失敗したとしても内容を見極めて、慌てず3年間かけるつもりで少しずつアプローチしていくことで、殻が破れるようになってくるのかなと思います。 ──気配りする部分と、鼓舞する部分のバランスはどう取りますか。 基本的に自分のやり方を押し付けるのは好きではありません。選手たちによく言うのは『ファーストペンギン』の話で、 最初に手を挙げて「俺がやるぜ」という人になってほしいんです。指導者としてより人として、そういう思いは持っています。ウチには悪い子は一人もいません。真面目で良い子ばかりですが、でもやっぱり少し受け身で、流されやすいところがあります。だからこそ頑張って最初に手を挙げられる人になってほしいし、何人か少しずつできるようになってきました。ただチームは組織で動きますから、ファーストペンギンが海に飛び込むのを見て、セカンドペンギン、サードペンギンと続かなければいけないのですが、誰か一人が頑張っているのを「頑張ってるね」と見ている状態もすごく多いと感じています。そこで頑張る選手がどんどん増えて、自分たちで大きな波を作っていくようなチームの厚みを、今は選手たちに求めています。
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