L→R　勇次郎、愛蔵

HoneyWorksがプロデュースする男性アイドルユニットのLIP×LIPから2ndアルバム『生まれてきたことに感謝しなさい！』が届いた。シングル曲はもちろん、入手困難だった既存曲、さらに新曲を収録。勇次郎（CV：内山昂輝）と愛蔵（CV：島﨑信長）の魅力とHoneyWorksならではの伏線が詰まった一枚になっている。 LIP×LIP リコメンドのその他の写真

お馴染みの楽曲の連続で、ふたりの世界に引きずり込む

　1stアルバム『どっちのkissか、選べよ。』（2019年1月発表）から4年振りとなるファン待望の2ndアルバム『生まれてきたことに感謝しなさい！』は、「LOVE&KISS」や「ジュリエッタ」など、シングルとして発表された楽曲はもちろん、昨年12月に配信リリースされた「許してサンタさん」などの既発曲、さらに新録曲5曲を加えた全13曲が収録されている。同作のタイトルでもある“生まれてきたことに感謝しなさい！”という言葉は、LIP×LIPからジュリエッタ（LIP×LIPのファンの呼称）にちょっとだけ上から目線で言っているようでもあり、それはジュリエッタを生んでくれたそれぞれの両親にも“感謝をしなさい！”と言っているようにも聞こえる。そんな勇次郎と愛蔵のふたりに出会えたことに感謝せずにはいられない豪華な内容のアルバムに仕上がった。 この作品で彼らと初めて出会うジュリエッタもいるだろう。LIP×LIPとはシリーズプロジェクト『告白実行委員会』をはじめ、YouTubeやニコニコ動画で関連動画総再生回数10億回を超え、TikTokでも大反響を得た「可愛くてごめん feat. ちゅーたん（CV：早見沙織）」の動画がYouTubeで1億回再生（2024年2月現在）を超えるなど、若年層をはじめに大人気を誇るクリエイターユニット・HoneyWorksがプロデュースする男性アイドルユニットだ。2016年12月に公開された映画『好きになるその瞬間を。～告白実行委員会～』挿入歌としてLIP×LIPが歌った「ロメオ」の動画再生回数は1,000万回（2024年2月現在）を突破し、17年12月にシングル「ノンファンタジー/必要不可欠」でメジャーデビューを果たした。バーチャルな存在でありながら、リアルのアイドルさながらの人気を誇り、アニメ『いつだって僕らの恋は10センチだった。』や『走り続けてよかったって。』などのテーマソングを担当するほか、アニメ『ヒロインたるもの！～嫌われヒロインと内緒のお仕事～』に主人公がマネージャーを担当するアイドルユニットとして登場。2020年にはHoneyWorksの活動10周年を記念して、LIP×LIPの結成秘話を描いた映画『HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”』が公開など、リアルとバーチャルの境界を超えたアイドルユニットとして人気を誇っている。 　本作のトップバッターは、2020年12月に公開された映画『LIP×LIP FILM×LIVE』OP主題歌「LOVE&KISS」。《これから話す物語》という歌詞とポップでキラキラとしたサウンドが、このアルバムへの期待感を倍増させてくれる。爽快なサビの前に繰り出される吐息混じりの“KISS”というひと言も同曲の聴きどころだ。そんな“KISS”を贈る相手が2曲目の「ジュリエッタ」。同曲はふたりのマネージャーを務める涼海ひより（CV：水瀬いのり）の活躍を描いた、アニメ『ヒロインたるもの!～嫌われヒロインと内緒のお仕事～』OPテーマで、続く「青へ」は同アニメ第9話の挿入歌として話題を集めたもの。プレーヤーの再生ボタンを押せば、LIP×LIPのファンならお馴染みの楽曲の連続で、彼らの世界に引きずり込まれるだろう。 　4曲目の「推し魔法」はアップテンポのサウンドに乗せてふたりがジュリエッタたちに呼びかける、ちゅーたん（アニメ『ヒロインたるもの！』に登場するキャラクター）なら卒倒しそうなライヴナンバー。各所に“うりゃおい！　うりゃおい！”というアイドルソングでは定番のコールなどが落とし込まれ、一緒に歌って盛り上がれる楽曲に仕上がっている。「A.B.SECRET」はアラビックなメロディーやラップ調のヴォーカルがフックになったナンバー。メランコリックなメロディーを奏でるOjiのギターソロも聴き応えがある。恋のABCのCに声を出さないでほしい時の“シー”とやる仕草を重ねた歌詞が秀逸。《シー》の先に何が待ち受けているかは、それこそSECRETだ。 　「許してサンタさん」は『告白実行委員会～アイドルシリーズ～クリスマススペシャル！3曲連続公開』企画の一環として昨年12月に公開された曲。クリスマスまで抑えきれない気持ちの高鳴りが“許してサンタさん”というひと言に込められている。サンタに恋のアドバイスを請うユーモアもあれば、《来年、再来年も／おじいちゃんおばあちゃんになっても》と胸をアツくさせる展開も。クリスマスを過ぎたらバレンタイン、そしてホワイトデーだろう。「ホワイトデーキッス」は前作『どっちのkissか、選べよ。』に収録の「チョコカノ」のお返しソング。2017年に開催された『コミックマーケット93』で頒布されたHoneyWorksのCDに「チョコカノ」とともに収録されていた曲である。今作のリリース日がホワイトデーの前日であることから、“もしや収録されるかも！”と期待していたジュリエッタも多かっただろう。そういった声にしっかり応えるのがLIP×LIPであり、HoneyWorksなのだ。