眞栄田郷敦&高橋文哉&板垣李光人、『ブルーピリオド』撮影を通して魅かれた互いの才能
◆『仮面ライダーゼロワン』が役者としての大きな転機に(高橋)
――八虎は、1枚の絵との出会いをきっかけに美術の世界にのめり込んでいきます。皆さんにとって「役者をやっていきたい」と思えた出会いがありましたら、教えてください。 眞栄田:ひとつスイッチが入った瞬間というと、萩原健太郎監督との出会いはとても大きなものでした。初めて萩原監督と作品を撮らせてもらった時には、悔しい思いをした部分もあって。また絶対にご一緒したいと思っていました。以前、萩原監督から本を貸していただいたことがあって。芝居のことを理論的につづった英語の本で、今でもそこに書かれたことを軸に脚本を読むようにしています。実は僕、その本をずっと借りたままでいたんです。「萩原監督にリベンジできたときに返そう」と思っていて、本作のクランクアップの時に返すことができました。 高橋:僕はスーパーで出会った、7歳の男の子です。『仮面ライダーゼロワン』のオーディションで合格をいただいたことで僕の役者人生が始まりましたが、ある日スーパーで、声をかけてくださった親子がいらっしゃって。お母さんが「『仮面ライダー』に出ている高橋文哉くんだよ」と息子さんに説明をしたのですが、その時の僕は帽子をかぶって前髪を下ろしていたので、息子さんが僕だってわからなかったんですね。帽子をとった瞬間に「ああ!」と飛び跳ねて喜んでくれて、お母さんも「この子が、いつも楽しませていただいています」とお話してくださった。そこで責任を感じると共に、頑張る意味を見つけられたような気がしています。 板垣:僕も、作品を受け取ってくださる方の存在が大きいです。『ここは今から倫理です。』というドラマで、精神的にいろいろと抱えている役をやらせていただいたことがあって。とても難しい役ではありましたが、放送後に同じような境遇にいる方からメッセージをいただいて、「作品や芝居を通して、こんなにも人の心を動かせるものなんだ。自分はあらゆる人たちと作品をつなぐことができる場所にいるんだ」と実感しました。そこで、役者という仕事はとても面白いものだなと改めて気づくことができました。