「大腸がん」の初期病変を効率的に見つける方法を発見 藤田医科大学の研究結果
今回の研究内容への受け止めは?
編集部: 藤田医科大学による研究グループが発表した研究内容への受け止めを教えてください。 甲斐沼先生: 海外では、2006年に第1世代の大腸用カプセル内視鏡「CCE:Colon Capsule Endoscopy」が臨床応用され、我が国においては2014年1月に世界に先駆けて保険適用となりました。CCEは大腸がんスクリーニング検査の新たなモダリティとして期待されていましたが、膨大な撮影枚数から的確に病変を拾い上げる必要があり、CCEにおける病変検出能を向上させる読影方法を確立させることが課題とされていました。 大腸カプセル内視鏡におけるFICE観察の有用性、特に大腸腫瘍性病変に対する病変検出能に与える影響は、これまで検討されていませんでした。今回、研究グループは「大腸カプセル内視鏡におけるFICEスクリーニング読影は、従来の読影法と比較して腫瘍径が小さな表面型腺腫や鋸歯状腺腫などの大腸がん初期病変も見落とさずに効率的に検出できる可能性がある」と評価しました。 大腸カプセル内視鏡における膨大な撮影枚数から的確に病変を拾い上げるという課題は、FICE観察を用いることで解決できる可能性があると言えるでしょう。特に腫瘍径が小さな表面型腺腫や鋸歯状腺腫などの大腸がんの初期病変を効率的に検出できることから、大腸カプセル内視鏡におけるFICEスクリーニング読影をおこなうことで、より精度の高い大腸がん検診を将来的に実現することができると考えられます。
編集部まとめ
藤田医科大学の研究グループは、画像強調システムであるFICEを活用した大腸カプセル内視鏡読影が、大腸がんの初期病変を効率的に拾い上げることができるという研究結果を発表しました。今回の研究結果をもとに、より良い大腸がん検診を実現することに期待が高まります。
【この記事の監修医師】
甲斐沼 孟 先生(TOTO関西支社健康管理室産業医) 大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。2023年、TOTO関西支社健康管理室産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。