海藻を食い荒らす魚「アイゴ」をさつま揚げに 志摩市、産官学連携し完成お披露目
【志摩】海藻を食い荒らすことから磯焼けの一因とされる魚「アイゴ」の消費・販路拡大を目指し、三重県の志摩市と県立水産高校、伊勢市の老舗かまぼこ店「若松屋」が連携して開発に取り組んできたアイゴのさつま揚げが完成し、このほどお披露目された。 アイゴはひれに毒があり内臓に臭みがあるため、食用として十分に活用されていない未利用魚。市沿岸では、藻場が減少する磯焼けの影響でアワビやサザエの漁獲量が減少しており、海藻を食べるアイゴなどによる食害が磯焼けの原因の一つとされている。 市は本年度から、磯焼け対策の一環として同校水産資源科アクアフードコースの3年生12人とアイゴを使った商品開発に着手し、地域活性化起業人として、ABCクッキングスタジオ(東京都)から市観光課に出向している貞縄春菜さんが協力。気軽に食べられるさつま揚げの材料としてアイゴの活用を決め、試作を重ねた。 商品の品質向上のために若松屋の代表取締役、美濃松謙さんが参画し、同校で座学や調理実習を実施。アイゴの身をミンチにし、水にさらして余分なタンパク質を流してにおいを取り、イトヨリダイを2割加えて歯ごたえをなめらかにするなど工夫し、生徒の発案で志摩産のアオサも練り込んだ。 4日に同市であった「あのりふぐまつり」で、同コースの生徒約11人が来場者にさつま揚げ300食を無料で提供し、アンケートを実施。結果を参考においしさの追求や価格設定を行い、来年5月をめどに市内の磯体験施設「海ほおずき」での販売やふるさと納税返礼品への採用を目指す。 同コース3年の山本理英さんは「アイゴのおいしさを知ってもらいたい」、同3年の松本章浩さんは「将来の夢は料理人になることなので、未利用魚を調理し、いい経験になった」と話した。 美濃さんは「アイゴを使うのは初めてで、かなりのチャレンジだった。まだまだおいしくなる可能性があり、工夫次第で志摩市の新たなブランドになると感じている」と期待を寄せた。