「北陸一の複合施設に」 金沢駅前の都ホテル跡地 近鉄不動産社長、市長に方向性
●ホテル備える構想 金沢駅前の金沢都ホテル跡地について、所有者である近鉄不動産(大阪市)の倉橋孝壽社長は25日、「北陸一のブランドとなる複合施設を考えている」と明らかにした。ホテルを備えた施設とする構想で、同社が再開発計画の方向性を示すのは初めて。大阪市の本社で早期の再開発を要請した村山卓金沢市長に対し答えた。塩漬け状態が続く一等地の跡地利用が動きだした。 【写真】更地のままとなっている金沢都ホテル跡地 要請は非公開で行われた。市によると、村山市長が都心軸沿線(金沢駅―片町)の地域整備方針を説明。駅周辺の建物の高さ制限を除外する「都市再生緊急整備地域」の指定は早ければ来年夏ごろになるとし、指定後の速やかな事業着手と方針に基づく再開発を求めた。 倉橋社長は「地域整備方針の内容に沿う形で、社内で再開発の構想を協議したい」と応じた。ホテル以外の機能や再開発時期に言及しなかったという。 村山市長は複合施設について、「文化観光を促進し、広域観光の拠点になってほしい」と強調し、文化や学術の発展につながる機能を持たせ、文化都市として格調高いにぎわいと魅力の創出につながることを期待した。外観は「金沢駅の鼓門(つづみもん)との調和が大事だ」とも指摘し、能登半島地震を教訓とした帰宅困難者への対応に協力も求めた。 村山市長は24日に内閣府を訪れ、都市再生緊急整備地域の指定に向けた申請書を伊東良孝地方創生担当相に提出した。現在、駅周辺では都市計画法に基づく高さ規制で60メートルを超える建物を建築できないが、これを除外し、民間の活発な投資を促す。 金沢都ホテル跡地を巡っては、6年以上更地の状態が続いている。11月、金沢経済同友会と村山市長の意見交換会では早期の開発着手を求める声が上がっていた。馳浩知事も県議会12月定例会で、近鉄グループと金沢市が進める議論に積極的に関与する方針を示している。