「経営は成功するようにできている」松下幸之助が一貫して説き続けた誰にでも実践できる成功の秘訣
■松下幸之助も簡単にはなれなかった「素直な心」 「天地自然の理法はどこにあるかということは、各人各人のしみ出るような体験からつかめるともいえますが、それだけでなく素直な心を培養するという心がけでものを見ていけば、天地自然の理法というものも分かってきて、その人の動くところすべて理に適した動き方をするようになると思います。学問にとらわれず、知識にとらわれず、権力にとらわれず、地位を利用するような動きもしなくなる。すべて自然の理のままに、正しい行いがだんだん高まっていくということになると思います」 経営は「本来」成功するようにできているのに、「現実」にそうならないのは、結局のところ人間が「素直な心」を持っていないからだというのが、幸之助の見方だ。経営の基本は「人知」を過信することではなく、「素直な心」で「自然の理法」に従うことだという幸之助の考え方から理解できよう。 しかし、人間誰しも「素直な心」にはなかなかなれないものだ。幸之助自身もそうだった。それゆえ幸之助は、「素直な心」の大切さを、晩年まで熱心に説き続けたのである。 ---------- 川上 恒雄(かわかみ・つねお) PHP理念経営研究センター首席研究員 1991年一橋大学経済学部卒業、日本経済新聞社入社。1997年同社退社後、南山大学宗教文化研究所研究員、京都大学経営管理大学院京セラ経営哲学寄附講座非常勤助教などを経て、2008年PHP研究所入社。2019年より同社PHP理念経営研究センター首席研究員。著書に『「ビジネス書」と日本人』(PHP研究所)。ランカスター大学宗教学博士(Ph.D.)。エセックス大学社会学修士(M.A.)。 ----------
PHP理念経営研究センター首席研究員 川上 恒雄