急増したライダーの事故死者数 安全に向けた取り組みは本当にこのままでいいのか?
前年比+16.8%の508人という結果に
webCGもちょくちょく取材&勉強のために参加している、日本自動車工業会 二輪車委員会(以下、自工会)のメディアミーティング。過日行われた第9回は、安全への取り組みがテーマだったが、そこでちょっと、残念な統計が明らかとなった。ライダーの事故死者数が、2023年は増加に転じたのだ。 【写真】注目のバイクが盛りだくさん! 東京モーターサイクルショー2024のホンダの展示車両を見る 過去10年を振り返ると、二輪乗車中の事故死者数は基本的に減少傾向だった。自工会ではライダーの事故死者数を2030年までに半減させる(対2021年比、526人→263人)目標を立てているが、2022年まではその見立てより速いペースで減っていたのだ。ところが2023年は突如反転。それも前年比+16.8%の508人と、異例の大幅増となった。 ちなみに、同年の歩行中の事故死者数は973人で前年比+1.9%、四輪乗車中は837人で-3.8%、自転車乗車中は346人で前年比+2.1%となっている。二輪の+16.8%というのがちょっとショッキングな数字であるのは、ご理解いただけると思う。なお、2023年の全交通事故死者数は2678人で、前年比+2.6%だった。 それにしても、なぜ2023年はライダーの事故死者数が跳ね上がる結果となったのか。配布資料の統計を見ると、年齢別では20~24歳の死者数が前年比+70.3%で63人、次いで60~64歳が39人で+69.6%、65~69歳が20人で+42.9%と大きく増えている。あまり無責任なことは言えないが、頑張って免許をとった若者や、現役にカムバックしたリターンライダーが事故に遭われるさまを想像してしまった。背景に昨今のバイクブームがあったとすると、メディアの末席を汚す者として、ちょっとやりきれない。 もっとも、自工会も警察庁も、事故死者数の増加についてことさら特定の要因を指摘してはいない。素人の記者が勝手に勘ぐって悲嘆にくれるより、「それじゃあこれから、どうするべきか」について考えるほうが建設的だろう。