急増したライダーの事故死者数 安全に向けた取り組みは本当にこのままでいいのか?
“人”への施策は確かに大切だが……
さて、ここらで自工会の話に戻ろう。ライダーの啓発・教育も大事だが、彼らはこうした製品の見直し、改善についても、あらためて調整役や旗振り役を担えないのだろうか。 今回のミーティングでは、自工会がかつて行った胸部プロテクターの試験についても説明があった。国内用品メーカーの参加を募り、欧州規格に沿ったインパクタや、ダミー、さらには二輪と四輪の実車も用いて衝撃試験と衝突試験を実施。その結果をJMCA(用品連合会)に公開し、国産胸部プロテクターの性能向上に寄与したというのだ。 今あらためて自工会に求められているのは、こういう役割ではないかと思う。目的は「普及しやすい製品の供給」に代わっているが、そちらの方向性でも、ライダーの声を集めやすく、関係各所の協力も得やすい自工会だからこその施策や、提供できるリソースがあるはずだ。 今回のミーティングでは、自工会は依然として“人”に関する施策に力点をおいて説明していた。もちろんそれは素晴らしいことだが、これまでだって十分以上の取り組みがなされていたはずで、これ以上は乾いたぞうきんだろう。既存の取り組みはそれとして、“モノ”や“環境”あるいは“法”に関する施策も考えるべき時期にきていると思う。ヘルメットのアゴ紐問題については、さすがにもう法規で取り締まるしかないだろうし、(性能は上がっているのだろうけど)10年ひと昔でカタチや売り方の変わらないプロテクター類については、メーカー側の奮起に期待したい。そこで自工会が働きかけられることは、たくさんあるはずだ。 もちろん、やるべきことがたくさんあるのは私たちも一緒。ライダーの皆さんは、ちゃんとウエアを着て、アゴ紐しめて、今日は昨日より安全運転で行きましょう。 (文=webCG堀田剛資<webCG”Happy”Hotta>/写真=日本自動車工業会、向後一宏、webCG/編集=堀田剛資)
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