倒産件数は734件、2023年度累計はコロナ禍前の9000件近くに 2024年は1万件突破も視野 ― 全国企業倒産集計2024年2月報
22カ月連続で前年同月を上回る
2024年2月の企業倒産は734件発生し、前年同月(574件)を27.9%(160件)上回った。2022年5月から22カ月連続で前年同月を上回り、2月としては2014年(765件)以来10年ぶりに700件台となった。中小規模の事業者を中心に、物価高や人手不足、コロナ支援策縮小の影響を複合的に受けた倒産が増えた。 年度ベースでは、2023年4月-2024年2月の累計は8011件となり、2月時点で2022年度(6799件)を17.8%(1212件)上回った。例年3月は2月よりも倒産が増え、今年も800件前後の件数が見込まれることから、2023年度はコロナ禍直前である2019年度(8480件)の水準を上回り9000件近くに達する可能性がある。また、年ベースでは今後の発生状況次第で、1万件突破も視野に入る。 負債総額は1361億6600万円となり、前年同月(1005億4600万円)を35.4%(356億2000万円)上回り、2月としては4年連続で前年同月を上回った。太陽光発電システム販売の「スマートテック」(茨城、負債45億円)、佃煮製造の「野村佃煮」(京都、同34億400万円)など、負債数十億円クラスの倒産が各地で目立ち始めており、今後は倒産件数とともに「負債総額の増加」に注目したい。
目立つ「突然死」、引き続き「優良先」の粉飾決算発覚に警戒
負債額の増加は、倒産企業に対する融資金の焦げ付きを通じて、金融機関の与信費用の増加につながる。2月中旬までに出そろった上場地銀の決算発表をみても、融資先の経営悪化や倒産に備えた与信費用が増加した。さらには、金融機関が「優良先」として融資していた先で粉飾決算が発覚し、「突然死」する案件も昨年来相次いでおり、先行きへの警戒感は強い。 2月から3月にかけても、粉飾発覚後に倒産するケースが判明した。中古自動車卸の「彦根相互ホールディングス」(滋賀、負債27億4700万円)、販促グッズ企画・制作の「スピンドル」(東京、同52億6400万円)などで、いずれも負債額は数十億円にのぼり、取引金融機関は相応の与信費用を強いられた。 現時点で倒産していないものの、過去の粉飾が明らかとなり、金融機関との間でバンクミーティング中の企業も水面下で複数判明している。金融機関が融資先を見る目もいっそう厳しくなるなかで、今後も引き続き「優良先」の粉飾決算発覚(『粉飾倒産』含む)が増えそうだ。