有無を言わさぬカチコミ決着 西山女流三冠快勝で史上初の女性棋士まであと1勝に 棋士編入試験第4局
西山朋佳女流三冠が受験する棋士編入試験五番勝負は、第4局が12月17日(火)に関西将棋会館で行われました。対局の結果、得意の三間飛車を用いて試験官の宮嶋健太四段を95手で破った西山女流三冠が棋士編入試験の成績を2勝2敗として合格に望みをつなぎました。 ■あとがない挑戦者 本編入試験は新四段5名と対局を行い、うち3勝を挙げればフリークラス編入の形での四段資格を得るもの。西山女流三冠はここまで高橋佑二郎四段に勝利したのち、山川泰熙四段と上野裕寿四段に連敗してこの日を迎えました。本局、先手番で始まった西山女流三冠は迷わず三間飛車を採用、オーソドックスな美濃囲いに組んで戦いの時を待ちます。 対して居飛車党の宮嶋四段は右銀を繰り出す急戦策に本局の命運を託します。やり取りが一段落した局面はAI登場時代以前に指されていた対抗形のテーマ図の類型。囲いの堅さで劣る居飛車側に工夫の求められる展開となりました。実戦はここから西山女流三冠の一人舞台ともいえる終盤戦が幕を開けます。 ■有無を言わさぬ圧勝 中央に打った自陣角を左辺に飛び出したのがスケールの大きな指し回し。敵竜に追われたとき、この角を成って敵の囲いの壁をなす金に体当たりさせたのが西山流の面目躍如でした。この一気呵成の寄せを見たファンは「カチコミじゃあ」「カッコ良すぎる」と狂喜乱舞します。 敵玉を孤立させることに成功した西山女流三冠は最後まで冷静に寄せを遂行。終局時刻は17時0分、最後は自玉の詰みを認めた宮嶋四段の投了で西山女流三冠の棋士編入試験2勝目が決まりました。快勝で合格の望みを次局につないだ西山女流三冠は「泣いても笑っても最後。悔いのないように臨みたい」と抱負を語りました。第5局は柵木幹太四段と2025年1月に指される予定となっています。 水留啓(将棋情報局)
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