部門間でよく起こる「責任はどっち」問題を防ぐ5つの方法とは?【ビジネス最前線】
「人間だから仕方ない」では済まされない
一方で、「人間だから仕方ない」として問題を感情論で片付けてしまうのは、何の解決にも繋がりません。例えば、Googleが採用しているOKR(目標と成果指標)という制度では、個々の目標が明確であり、その目標に対する個人の貢献が可視化されることが、チーム全体の成功に繋がるとされています。これは、個々の仕事に対するモチベーションが「誰かから与えられるもの」ではなく、「自己発生するもの」であることを示唆しています。 つまり、仕事へのモチベーションの源泉には「個人としての責任感」が重要な役割を果たしているということです。「人間だから仕方ない」という考え方であれば、まずは仕事のチームを「目標達成のための装置」とし、その中でメンバーを「機能」として捉える必要があります。 ここで強調したいのは、人間性や感情を軽視するのではなく、それ以上に個人をチームの機能として明確に位置づけ、その個人としての責任を明確にすることで、人々はチームへの貢献意識を高め、結果として仕事に対するモチベーションが向上するということです。
「責任はどっちだ」問題を解決するための「経営者として問われるべき姿勢」
では、部門間の責任の曖昧さを解消し、組織全体のガバナンスを強化するためには、経営者としてどのような姿勢が求められるのでしょうか。以下に、具体的な5つの方法を挙げます。 1.強力なトップダウンによる明確な目標設定とKPIの設定 部門ごとの目標を明確にし、達成期限や数値、もしくは具体的な状態で設定します。部門長はそれに基づいて部員に対して具体的なKPIを設定し、その進捗を管理します。このプロセスにおいて、上層部は各部門および個人の成果が組織全体の目標達成にどう結びつくかを確認し、責任を果たせるような体制を整える必要があります。これにより、個々の責任を果たすことが組織全体の成果に直結する仕組みが構築されます。 2.責任を果たせなかった場合の明確なペナルティ 責任を果たせなかった場合には、解任、降格、減給などの明確なペナルティを設定することが重要です。これにより、個々の責任感を強化し、責任が役割として分配されても、それを逃れられないという認識を持たせます。もちろん、チームに対する貢献も重要ですが、それも明確な責任として設定し、果たせなかった場合には査定が下がることを明示する必要があります。 3.公明正大なルール運営による心理的安全性の確保 どんなゲームでも勝ち負けがあり、それがあるからこそ人は努力します。不正や依怙贔屓が許されない環境を整えることで、上記のペナルティも受け入れやすくなります。これが心理的安全性の真の意味であり、負けた場合に責任を問われない環境は、無責任なチームメイトを生む原因となります。リーダーシップとしては、公平で透明性のあるルール運営を徹底することが求められます。 4.失敗を責めず、次の行動を促す 責任を果たせなかった場合、制度上の評価を受け入れる環境が整っていれば、失敗やミスを必要以上に責める必要はありません。ただし、しっかりと原因分析を行い、次の一手を見つけることが求められます。これもまた、責任の一部として認識させる必要があります。言い訳をすることも時には解決策を見つけるヒントになるため、言い訳と徹底的に向き合う姿勢を求めるべきです。 そして、これはトップにも同様に適用されます。部下に責任を押し付けているリーダーは、むしろ組織の成長を阻害する要因となります。 5.結果だけで評価する 明確なルール設定に基づいて、その結果のみで評価を行います。なぜなら、結果が出ていない状況で「頑張った」という言い訳は、結果的に無責任の始まりを意味するからです。努力や過程も重要ですが、それが最終的な結果に結びつかなければ評価されるべきではありません。結果を重視することで、部門間の責任が明確になり、全員が同じ目標に向かって努力するようになります。
おわりに
部門間の責任の曖昧さを排除し、透明性と公正さを持ったリーダーシップを発揮することが、企業の持続的な成長を支える鍵となります。責任の所在が明確であり、全員がその責任を自覚して行動する環境を整えることが求められます。経営者として、上述した5つの方法を実践することで、組織全体のガバナンスを強化し、持続可能な成功を収めることができるでしょう。強力なトップダウンのもとで成果を追求し、責任の曖昧さを排除する姿勢を持ち続けることが重要です。
サライ.jp