マンションの「修繕積立金が足りない」本当の理由…盛り盛り「長期修繕計画」を作った業者による“マッチポンプ”の悪質な手口【マンション管理クライシス】
近年では、大規模修繕の工事費が高騰し、「修繕積立金が足りない」と悲鳴を上げるマンションも増えてきた。しかし、それは本当に工事代が上がってのことなのか。(*記事内容は編集部が保証するものではありません。実際のマンションの状況に合わせて考え方を参考にしてください) 【一覧】いまマンションを「買っていい街」「ダメな街」を実名公開する
修繕積立金が足りない本当の原因は
一級建築士でマンションコンサルタントの須藤桂一氏が指摘する。 「一般的に、あらゆる事業において“お金が足りない”原因は、 『1、本当に足りない』 『2、計画自体が過剰』 『3、費用が割高』 の3つです。 大規模修繕においては、ファミリータイプのマンションで毎月1.5万円程度の修繕積立金を徴収していれば、特別な設備がない限り、積立金不足の原因は上記の2と3と思ってほぼ間違いありません。 それに加えて、普段から割高で、場合によっては不要な工事や設備更新などの度重なる出費によっても、積立金は減少してしまいます。管理会社の提案は常に営業の側面があることも忘れてはいけません」 そんな管理会社や設計コンサル会社などの修繕事業者にとって、工事で稼ぐための下準備が「長期修繕計画書(長計)」の作成だ。これは次回以降の大規模修繕の内容と工事費を概算するもので、5年程度で見直され、これを元に毎月の修繕積立金が算出される。
「長計」は管理会社や設計コンサル会社が作る
「この『長計』が実は曲者なのです。次回以降の大規模修繕で修繕事業者が自社の利益を見込んで高額化する概算を彼らの匙(さじ)加減で作られてしまえば、毎月の修繕積立金の値上げの根拠となってしまう。 そして値上げされ、大規模修繕の時期がやってくると、長計を作った管理会社が『責任を持ちます』と、大規模修繕の元請けになったり、設計コンサル会社なら、工事業者の選定に関与したりするのです。 長計を口実にお金をできるだけ貯めさせて、それを工事で使い切らせ、場合によっては積立金以上の大規模修繕の見積もりを出して、一時金まで徴収して売上に繋げられるか。それが営利企業である彼らの最終目標なのです。この長期修繕計画は彼らの"売上予定表"と揶揄する声もあるほどです。 大手の管理会社や設計事務所だから安心、と思うのではなく、施工自体は外注なのに、一等地にオフィスを構えたり、豊富な事務員を抱えられていられるお金は、一体、どこから来ているのかを考えるべきです」(須藤氏)
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