Pゼロでさらに速く機敏に! マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(4) じっとり濡れたカーペット
ステアリングは一層ダイレクトでピュアに
それが、エアコンの利用時に車内の気圧を一定に保つための、ボディの下側にあるエアベント。このシール部分から、雨水が侵入したという。大雨の中でも、構わず高速道路を何度も長時間走ったことで、水を防ぎきれなかったようだ。 スタッフによると、ほかの1台でも同様の水漏れが起きていたらしい。手早い作業でシール部分が密閉され、カーペットは乾かされ、アルトゥーラの車内は再び乾燥した空間に戻った。 さて、計画していた変化というのは、前回触れたとおり、スタッドレスタイヤのピレリ・ソットゼロがサマータイヤのPゼロへ交換されたこと。冬の間、とても頼もしい存在だったが、これが本来はデフォルトの足になる。 変化ぶりは次回に詳しく触れたいと思うが、想像していたとおり、ステアリングは一層ダイレクトでピュアに転じた。グリップ力は、公道で限界へ追い込めるレベルの遥か上。穏やかなアンダーステア傾向の操縦性も、生まれ変わった。 サーキットを頻繁に走ることがない限り、ピレリPゼロ・コルサのようにソフトなタイヤを選ぶ必要はないと、筆者は考えている。公道走行に不可欠なウェット性能を犠牲にしてまで、実際には発揮させることがない水準へ、ドライ性能を高めても意味がないからだ。
新しいPゼロで最大限に謳歌しよう
アルトゥーラは、更に面白く速くなった。驚くほどの日常との親和性は、まったく変わらない。長期テストに残された時間は長くない。新しいPゼロを履いたからには、後悔しないよう、最大限に謳歌しようと考えている。 2024年の春は、好天が続くことを祈りたい。少し気は早いけれど、お別れはきっと辛いものになるだろう。
テストデータ
■気に入っているトコロ ピレリPゼロ:グリップとステアリングが見違えた。ゲームチェンジャーなタイヤだ。 ■気に入らないトコロ 乗り降りしにくい:新設計のモノコック構造でも、アルトゥーラの乗降性は従来のマクラーレンと変わりない。 ■英国価格 モデル名:マクラーレン・アルトゥーラ(英国仕様) 新車価格:18万9200ポンド(約3670万円) テスト車の価格:22万1400ポンド(約4295万円) ■テストの記録 燃費:10.3km/L 故障:クルーズコントロール用レバーの交換/フロアシールの交換 出費:なし
アンドリュー・フランケル(執筆) 中嶋健治(翻訳)