出会いのきっかけはSNS。憧れの真っ赤なポルシェとスポーツカーに憧れる建築家、その運命的なめぐり逢いの一部始終とは…
古い車はいろいろ大変、でも愛おしい
ポルシェ911との暮らしを尋ねてみると? 「実際乗ってみて、やっぱり大変なこともありますね(苦笑)。燃料はハイオク限定で、燃費が悪いんです。それまでホンダのファミリーカーに乗っていたので、その落差が大きくて。燃費は1/3ほどに…。特に渋滞にはまると大変です。 エアコンは一応ついています。40歳を超えた車の割には思いのほか効きますよ。さすがに夏場の最も暑い時期は熱風が出てくる。汗をかくのは当然で首にタオルを巻いて乗りますね。 直射日光はきついのですが、夕方以降は夏でも意外と気持ちいい。エアコンが効かない分、風や天気などを意識するようになりましたね。ライフスタイルが自然に近づいてきたなあ、なんて思っています」
あの名曲、そのもの!遠方へのドライブが楽しい車
仕事にもプライベートにもレジャーにも、すべての用途でポルシェ911に乗っている彦根さん。訪れて良かった場所は? 「やはり新緑の箱根ですね。‟緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェ…”というあの歌(プレイバックpart2)の まったくその通りだったので(笑)。ただ、山道に入ると車のお腹や鼻先を擦ってしまうので注意が必要ですが。 あと、このポルシェ911は空冷式(外気や走行風だけでエンジン内部を冷却するシステム)で、走行スピードがゆっくりになるとエンジンの温度が上がってしまうということも。 それに、都内で狭い道を流していると、サスペンションがガタガタ、ゴロゴロする一方で、高速に乗ってスピードを出すとものすごく安定するんです。ぴたっと吸い付くような感覚。やはりスピードを出すことを前提としてつくられた車なんだな、と実感しています」 年代モノの真っ赤なポルシェということもあり、街中で駐車すると振り返られたり、声をかけられたりすることも多いといいます。 「嬉しかったのは、幼い子供がお父さんに向かって、『僕はいつかこの車に乗る!』と話すのを聞いたこと。逆に、お子さんに向かって『昔、お父さんはこの車が好きだったんだよ』と話しかけるシーンに遭遇することもありました」 また、古い車好きの建築家が集い、ちょっとしたお出かけをするようになっているそう。 「廣部剛司さんや森山善之さん、アルファロメオが愛車の藤岡新さんと連れ立ってお出かけしてきました。建築家同士はデザインとお客さんとお金と戦っているので、同志だと思っています。そのうえで、愛するものが同じだとがぜん親しくなりますよね」 ポルシェ911との思い出を積み重ねている彦根さん。次に欲しい車は特にない。 「この真っ赤な ポルシェに出合えたことに心から感謝しています!」