各話ごと振り返る「不適切にもほどがある」の凄いポイント、最終回はルールを壊して未来を変えられるか
余命3カ月の主人公(岡田准一)の日常を描いた、宮藤の『木更津キャッツアイ』(2002年)のようになるのか、令和のタイムスリップもののヒット作で、バカリズムが書いた『ブラッシュアップライフ』(2023年 日本テレビ)のようになるのか。回収されたら喝采しそうな伏線はあるのか。まったく予想がつかない。そこがいい。 ■「お断りテロップ」という画期的な発明 まずは最終回を前に、簡単に各話を振り返ってみよう。
第1話:頑張れって言っちゃダメですか? 「この作品には 不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み1986年当時の表現をあえて使用して放送します」というお断りテロップによって、すべての不適切な言動が許される、素晴らしい発明を生み出した。 1986年から2024年にタイムスリップした小川市郎は令和の価値観に驚くばかり。でもその、価値観のすり合わせが説教臭くなりそうなところをミュージカル仕立てにしてこれまた回避した。
第2話:一人で抱えちゃダメですか? ワンオペ育児に悩む渚に、意外にも市郎が助けになる。第1話の出会いから、なんとなくいい感じになっている2人だが、まさかの展開が待っていようとは思いもしなかった。 純子の1980年代の不良可愛い雰囲気に視聴者は釘付け。 第3話:可愛いって言っちゃダメですか? ホップステップジャンプ回。『不適切~』の真価が顕著になった。 昭和のバラエティ番組『早く寝ナイトチョメチョメしちゃうぞ』に純子が出演、ハラハラ見守る市郎。令和の生放送『ツツミンの! プレミアムサタデー』では不適切行為によって司会が降板、八嶋智人(本人役)が代役で奮闘する。
ドラマの中で、八嶋の所属する劇団カムカムミニキーナの公演の告知を行い、実際に公演中の演目で(筆者はその日にちょうど観に行っていた)、SNSでも盛り上がるという展開が、ライブ感を作り上げた。 第4話:既読スルーしちゃダメですか? 令和に慣れてきた市郎。スマホも使えるようになるが、SNSのコミュニケーションのルールがわかっていない。SNSは表面的なものであり、本気でコミットするものではないと渚から教わる。