「てんかん」治療に希望の光 大麻のイメージ払拭なるか、法改正で実用化の期待高まる
大麻取締法などの改正法が2023年12月6日に可決・成立しました。大麻草由来の成分を含む医薬品の使用に道が開けたことで、既存薬で効果が薄い難治性てんかんの治療薬が実用化される可能性に注目が集まっています。このニュースについて中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
可決・成立した改正大麻取締法の内容とは?
編集部: 今回、可決・成立した改正大麻取締法の内容について教えてください。 中路先生: 改正大麻取締法は、2023年12月6日の参議院で可決・成立しました。改正の背景としては、海外では難治性のてんかんの治療目的などで使用されている大麻由来成分を含む医薬品が、日本では従来の大麻取締法で使用が禁じられていて使えなかったことから、患者などから解禁を求める声がありました。 改正された法律では、大麻草を原料にした医薬品の使用を認めるほか、大麻草の栽培を医薬品などの原料を採取する目的でも認められています。一方で、乱用を防ぐために、麻薬及び向精神薬取締法で取り締まる麻薬に位置付けられました。既に禁止されている所持や譲渡などに加えて使用の禁止を盛り込み、今回の法改正で大麻由来成分の医薬品への利用の道が開けたものの、大麻の取締はより厳格になった形となります。 松野官房長官は、法改正成立後の記者会見で「近年、若年者による大麻の乱用が増加傾向にあることから、今回の改正が乱用の歯止めになることを期待している。また、大麻のみならず薬物全体について、まずは『手を出さない、出させない』という一次予防の取り組みが大変重要で、若者に対する啓発の取り組みを強化していく」と注意喚起をしています。警察庁によると、2022年に大麻の所持や栽培などで全国の警察に検挙されたのは5342人で、過去最多だった2021年の5482人に次いで過去2番目に多くなっているとのことです。また、20代以下の若年層が全体の約70%を占めています。