韓国発の新鋭「ポスト アーカイブ ファクション(PAF) 」を知っているか?
オフ-ホワイト™(OFF-WHITE™)やオン(ON)とのコラボレーションで話題を集める韓国発のポスト アーカイブ ファクション(PAF) 。11月に開催された渋谷パルコのポップアップのために来日したデザイナーのドンジュン・リムにブランド立ち上げのきっかけから現在地までを訊いた。 【写真の記事を読む】韓国の新鋭ポスト アーカイブ ファクション(PAF) 。
──まず、ブランドをスタートしたきっかけから教えてください。 ポスト アーカイブ ファクション(PAF) は“未来の新しいアーカイブを作る”をテーマに掲げて名付けました。今後、アーカイブになるであろう“ユニフォーム”を意識してメンズウェアを中心にデザインしています。 ──ファッションを意識し始めたのはいつ頃からですか? 実は、ファッションに興味を持ち始めたのは20歳頃です。それまでの学生時代は、レゴに夢中でレゴブロックのオタクだったんです。コム デ ギャルソンを知ったのが24歳頃なので、ほかのファッション・デザイナーに比べて明らかに遅いですよね(笑)。 ──レゴからファッションにシフトしたきっかけは何ですか? 高校時代は制服だったので、遊びに行くための服は必要ありませんでした。週末や空いてる時間は家でレゴを作ってましたから(笑)。でも、大学生になり、いざ何を着ていけばいいのかわからず、自分の好みやテイストも理解していませんでした。それで自分が着たい“ユニフォーム”を作ろうと思い、ネットで調べながら服作りを始めました。当時、ストリートファッション全盛期だったので、SNSなどを通じて興味を持ち始め持ちはじめたのがきっかけで、それからはアルバイトをしてたくさんの服を買いました。 その後、レゴのデザインチームで仕事をするためにインダストリアルデザインを2年ほど学び、レゴのヘッドクオーターがあるデンマークに留学費を稼ぐために、バイト感覚で服作りをはじめたんです。ファッション・デザイナーになるためには、服飾学校に行ってファッションの勉強をした人がなるものだと思っていましたが、ヴァージル・アブローのデザインアプローチをみて、「私にも作れるかも」って思ったんです。 ──インダストリアルデザインやレゴがブランドに大きな影響を与えていますか? 同じ素材のパーツで互換性のある何かを形作るのがレゴの魅力ですが、ファブリック選びとジッパーなどのパーツの組み合わせをどうするかなど、似ているところが多くあります。 ──パルコのポップアップではオフ-ホワイト™とコラボレーションしたアーカイブも並びましたが、ヴァージル・アブローとの仕事はどのように進みましたか? 21年にLVMH プライズのファイナリストにノミネートされた頃、ヴァージルから「一緒に何かしよう」とDMが届いたのが始まりです。機能的に意味のあるプロダクトを一緒に準備していきましたが、コレクションを発表する前にヴァージルが亡くなってしまったことがとても残念です。 互いにアイデアをシェアした時の反応がとても印象に残っているのですが、良い悪いの判断がとても明瞭で、面白いと思ったらすぐにレスがくるし、イマイチなものにはレスがなかったり(笑)、そのプロセスに一喜一憂していたのが今ではとてもいい想い出です。 ──オンとのコラボレーションも話題になりましたが、コラボレーターを選ぶ基準はありますか? 一番大事にしていることはプロダクトの魅力とクオリティです。今後は伝統的な老舗シューズブランドや日本の眼鏡ブランドとのコラボレーションが控えていますが、どれもプロダクトデザインとクオリティが素晴らしく、ポスト アーカイブ ファクション(PAF) のエッセンスが加わることでコラボならではの仕上がりになるので、楽しみに待っていてください。 ──世界的に認知が広がってきましたが、ブランドの強みは何だと思いますか? 「一見、複雑なデザインだけど着ると馴染む」という購入者からのフォードバックが多いです。着心地や身につけた時の雰囲気だったり、着ることでわかるディテールやデザインにはこだわっているので、アヴァンギャルドなデザインだけど、着ると優しいブランド、それが強みのひとつですね。 ──最後に、今後の目標を教えてください。 違うセグメントのブランドを作りたいです、例えば家具や車とか。ヴァージルやNIGOさんがメルセデスとコラボレーションをしていますが、僕もやってみたい。クールにする自信があります! 服のデザインをやってみた今だからこそ、プロダクトっぽい眼鏡や靴だったりのほうが得意なのかなと感じていて、インダストリアルデザイン出身なので、改めてプロダクトデザイナーなんだと自分を俯瞰しています。 ドンジュン・リム 弘益大学でインダストリアルデザインを学び、ファッションブランドやIT企業でUXデザイナーとしてキャリアをスタートした後、ファッションに興味を持ち始め、独学でメンズウェアのデザイナーとしての道を歩み始める。2018年にはポスト アーカイブ ファクション(PAF) を立ち上げ、先人たちが作り上げた服の歴史を元に、更に新しい構造を創り出し、新たな服の歴史を紡ぐことを追求すべく挑戦を続けている。コレクションは「バージョン」として毎シーズン発表され、年々進化していくことをコンセプトとしている。 postarchivefaction.com @postarchivefaction