櫻井海音、綱啓永、莉子、鞘師里保 2024年“大ブレイク期待”の俳優たち
2024年に飛躍を期待する若手俳優をピックアップするにあたって、まずは2023年に彼ら/彼女ら若手俳優たちにとって活躍のきっかけとなることが多い作品ジャンルに見受けられた変化について触れておきたい。 【写真】『VIVANT』『アオハライド』などを経て大ブレイク候補の櫻井海音 要するにそれは“ティーン映画”といわれるジャンルであり、数年前まではいわゆる“キラキラ映画”(筆者の定義としては、少女漫画雑誌に連載された、中高生の恋愛を主眼に置いた作品を原作にしたメジャー会社による映画)がその界隈をリードしていたが、ここ数年で完全に様相は一変。“キラキラ映画”は供給過多となった2017年・2018年に急激に低迷し、コロナ禍には、それまで意外にもそのジャンルをリードしてこなかった特定の事務所(所属タレントたちが旧事務所名を口にしないよう配慮していることを踏まえ、ここでも伏せさせていただく)の所属俳優に依拠するようにしてかろうじて存続。 そんなタイミングで、従来であれば10年前後のスパンで日本映画界のブームとなっていた“純愛映画”と、ライトノベルをはじめとしたティーン向けノベルの映画化作品が融合を遂げたことで勢力を拡大。一般的にはそちらも“キラキラ映画”と解されることが多いが、ここではあくまでも“ティーン映画”という括りにしておこう。現在公開中でサプライズヒットを飛ばしている『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』も、この流れに含まれる作品といえるだろう。
“キラキラ映画”から“キラキラドラマ”へ
もちろん元来の“キラキラ映画”はやんわりと(年1~2本程度のローペースで)継続しており、2024年3月にはこのジャンルの存続に積極的な松竹のもと、三木康一郎監督がメガホンを取り、原菜乃華と宮世琉弥をキャスティングした『恋わずらいのエリー』が控えている。ここでヒロインの相手役に先述の事務所以外の若手俳優を配したあたり、またこのジャンルが新たな過渡期に突入したと考えることができる。何はともあれ2023年には、この“キラキラ映画”ブームのピーク前に一度映画化された“名作”が、ドラマシリーズとしてリニューアルされたのである。 ひとつめは2010年のブーム黎明期に映画化された『君に届け』。当時はまだ原作の完結前ということもあり、今回のNetflixでのドラマシリーズ化には単なる焼き直しではない目新しさがあった。またもうひとつはブームのピークを作ったといっても過言ではない『アオハライド』であり、今回はWOWOWで2期にわたってドラマシリーズ化。後者のSeason1で改めて感じたことは、映画の尺に落とし込むために削ぎ落とされた様々な要素、あるいは登場人物の感情の揺らぎなどが、より長時間の尺が使えるドラマシリーズによって取り戻されているということであり、ある種のプログラムピクチャーとしての魅力を携えた“キラキラ映画”とは異なるベクトルで、より原作ファンにコミットした映像化になり得るということだ。もはやこのジャンルの存続には、ドラマシリーズ化という道が適切なのだと思い知らされることとなったわけで。