京都人の4人に1人が「買い物難民」…東京、大阪、名古屋の3大都市圏でも増加
スーパーやコンビニが近くになく、自動車も使えないために食料の確保に苦労する「買い物難民」が増えているのは農村部だけでない。都市部の課題でもあることが、農林水産省の研究機関、農林水産政策研究所の今春の推計で分かった。(向野晋) 【写真】ネットスーパで配送する商品を仕分けする店員(フレスコ烏丸店で、ハートフレンド提供)
2020年の国勢調査を基に居住地から店舗までの距離が500メートル以上で、自動車の使用が難しい65歳以上の高齢者の数を推計したところ、約4人に1人(25.6%)が買い物難民であると判明。地方圏の26.9%に対し、3大都市圏も24.2%と高かった。
都道府県別では、京都は27.4%、京都市に限ると24.2%だった。集計方法の変更で単純比較はできないものの、前回の15年時点の推計は府が23.0%、京都市は20.6%だった。
同研究所では、都市部での買い物難民の増加について、「飲食料品店の減少や大型商業施設の郊外化などの影響」を指摘している。
店舗から商品を配送する「ネットスーパー」…高齢者の利用目立つ、特性を生かした「ケース売りも」
京都市内を中心に展開する食品スーパー「フレスコ」が、インターネットで注文を受け付けて商品を店舗から配送する「ネットスーパー」を始めた。高齢者らをターゲットに、重い商品を運ぶのが困難な客のニーズを取り込む。
導入のきっかけは運営会社の「ハートフレンド」(下京区)の顧客調査。50歳代以上が7~8割を占め、同社の井上達也・商品本部部長は「今でもそうだが、10年先になると、重い荷物を運ぶことや買い物に出かけること自体が大変になる人がもっと出てくる」と考えた。
サービス自体はイオンなど総合スーパーやコンビニエンスストアが先行している。商品の仕分けや配達に人手もかかり、フレスコにとって容易な判断ではなかった。だが、将来を見据え、新業態のネットスーパー導入は必須と決断。先行組が共働きや子育て中の主婦らの利用を想定するのに対し、市街地で増加傾向にある高齢層の「囲い込み」を図れば勝機はあると判断した。
10月中旬から、上京区、中京区、下京区全域などで配送サービスを行うことにした。店舗にはないサービスとして、飲み物などが複数入った「ケース売り」を用意。本体価格5000円以上の購入で配送料が無料になるため、まとめ買いを推奨した。