パ全球団入団拒否の高校生「えらい叩かれた」 巨人は指名回避…ドラフト当日の“事件”
ドラフト前日まで指名を示唆していた巨人は日本鋼管・木田を入札
「最後に残ったのが巨人と中日。どちらからも前日に指名するという連絡はあったんですけどね」。結果、中日から単独1位指名された。一方の巨人は木田を入札して抽選で外れ、市尼崎の林泰宏投手を1位で指名した。牛島氏にしてみれば、巨人からは裏切られた形になったが「それは別に何とも思っていなかったです」という。「セ・リーグだし、どっちでもいいと思っていましたから。個人的には巨人に指名されなかったらどうとかはなかったですよ」。 さらにこんなことも口にした。「これは後で聞いた話ですけど、ドラフト当日に(巨人監督の)長嶋(茂雄)さんが左ピッチャーが欲しいと僕から木田さんの指名に変更したそうです。まぁ、木田さんは日本ハムで1年目に22勝しましたからね。そりゃあ欲しいですよね。高卒の僕と比べたら向こうは別格でしたからね。でも巨人戦は気合が入りましたよ。全国ネットですからね。うちのじいさんはこれしか見れませんから。ドラフトで指名されなかったことは関係ないですよ」。 それよりも最終的に中日から指名されたことがうれしかった。担当は伝説の敏腕・法元英明スカウト。「ウチの親とか親戚とかも法元さんと会って、話をしたら、みんな“法元信者”じゃないですけど『この人に預けたら大丈夫』ってなりましたからね。僕も法元さんにいろいろ話をしてもらってプロに入ることにしたんです」と牛島氏は話す。相思相愛の関係も巨人より中日の方が強かったのだろう。 「天理に進学するつもりだった僕に『奈良には来るな』と言った郡山の(森本達幸)監督は法元さんの関大時代の同級生だし、法元さんは、僕が1年の夏に(大阪大会5回戦で)負けた八尾高校の出身で、その試合も見ていたそうなんですよ。何かつながっていたのかなぁって思いましたね」。信頼できる人物との出会いとともに中日との縁ができた。その球団に行けるのだから、牛島氏にとってこれ以上ないドラフトの結果だったわけだ。
山口真司 / Shinji Yamaguchi