「7年に1度」長野・善光寺の御開帳が始まる
数えで7年に1度行われる善光寺御開帳は5月31日まで57日間の日程で5日から始まり、全国からの参拝者でにぎわいました。地元長野市と石川県金沢市を結ぶ北陸新幹線が3月14日に延伸開業したばかり。前回の600万人台を上回る700万人台の参拝者が延伸効果で期待されています。 【写真】5日から「善光寺御開帳」 北陸新幹線との相乗効果に期待
「前立本尊」の厨子が開かれる
この日は午前6時から本堂で行われた「お朝事」(おあさじ)で秘仏とされている本尊の分身「前立(まえだち)本尊」の厨子(ずし)が7年ぶりに開かれ、御開帳となりました。本堂に詰め掛けた2000人余の参拝者が一斉に手を合わせました。お朝事は善光寺全山の僧侶による本堂での勤行で、日の出とともに毎日欠かさず行われています。 この後、午前10時から天台宗、同11時から浄土宗による「開闢(かいびゃく)大法要」が行われました。境内は参拝客でにぎわい、富山市からこの朝家族と新幹線で善光寺を訪れた女性(72)は「善光寺には数回来たことがありますが、来やすくなってよかった。参拝が済んだらおいしい信州そばの店を探します」と話していました。 善光寺の本尊「一光三尊(いっこうさんぞん)阿弥陀如来」は秘仏で、誰も見ることができませんが、御開帳の期間に限り、本堂に遷座した本尊の身代わりの前立本尊を拝むことができます。本堂の前に立てられた高さ10メートルの回向柱(えこうばしら)は前立本尊と綱で結ばれており、参拝者は回向柱に触れることで前立本尊と縁を結ぶことができるとされています。
源頼朝や戦国武将とも深い因縁
善光寺は約1400年前の7世紀半ばの創建と伝えられ、どの宗派にも属さない無宗派の寺です。また女人(にょにん)救済の寺としても知られ、古くから多くの人々の信仰を得てきました。善光寺信仰が厚かったとされる源頼朝や、北条政子など北条一族、武田信玄など戦国武将とも深い因縁を持ちます。 善光寺の運営・護持を担当するのは天台宗の「大勧進」と浄土宗の「大本願」。大勧進の住職を「貫主(かんす)」、大本願の住職を「上人(しょうにん)」と呼び、互いに善光寺の住職を兼ねます。大本願は尼寺で歴代、公家出身の住職を迎えています。 大勧進の「お貫主さま」と、大本願の「お上人さま」または「副住職さま」は毎朝、善光寺の本堂でお朝事を行います。本堂への行き来の途中、参拝者がしゃがんでいると、数珠で頭に触れ、功徳を分けていただけます。これを「お数珠頂戴(ちょうだい)」と言います。 善光寺によると、お数珠頂戴は今の時期、午前5時50分前後ですが、日の出の時刻の早まりとともにその時刻も早まります。善光寺に39ある宿坊や近くの旅館、ホテルに泊まった参拝者が早朝から境内にお数珠頂戴のために並ぶ光景は善光寺独特のものです。最近は外国人観光客がお数珠を待つ姿も目立ちます。