隆の勝、自己新の初日から5連勝「伸びしろしかない」夢は初優勝&大関昇進 30歳誕生日に誓った
<大相撲九州場所>◇5日目◇14日◇福岡国際センター 節目の30歳の誕生日を迎えた東前頭6枚目の隆の勝(常盤山)が、自己新の初日から5連勝を飾った。西前頭4枚目の欧勝馬に攻め込まれたが、最後ははたき込み。大関豊昇龍、前頭阿武剋と並び、無敗を守った。7月の名古屋場所は横綱照ノ富士との優勝決定戦に敗れ、あと1歩で初優勝を逃した。だが衰えは感じておらず「伸びしろしかない」と成長を約束。30代で初優勝、さらには大関昇進という夢の途中と強調した。 ◇ ◇ ◇ 経験してきた修羅場の数が違う。隆の勝は横向きにされ、土俵際まで追い詰められていた。それでも体を開いて欧勝馬のバランスを崩し、そのままはたき込んだ。15歳で入門し、この日が30歳の誕生日。人生の半分を力士として過ごしてきた。番付はほとんど変わらなくても、日体大から順調に出世し、幕内4場所目の欧勝馬に、経験の差で土壇場に逆転。「30代を白星でスタートできた。こんなうれしいことはない。ケーキもプレゼントもうれしいけど白星が1番」と笑った。 今場所から環境が変わった。同部屋だった大関貴景勝が引退し、部屋付きの湊川親方となった。場所前の稽古は部屋で行うことが多かったが、関取が1人となり、4日連続で出稽古するなど、30歳目前に新たな挑戦をした。部屋でも湊川親方の若い衆へのアドバイスを「自分に言われていると思って聞いた。再認識したのは立ち合いの重要性。押し相撲は立ち合いで勝たないと、四つ相撲には勝てない」と自らの糧とした。今場所はのど輪で先手を取る必勝パターンを確立した。 名古屋場所の優勝決定戦の映像は「何回見たか分からないぐらい見た」。見る度に悔しさとともに「こうしておけばよかった、というのが分かった」という。突き、押しからの右差しで22年夏場所も優勝目前に迫ったが、名古屋場所と同じく照ノ富士に阻まれた。足りなかったのは「左おっつけ」。今は優勝できる力を身につけたと感じている。 「年齢よりも体は若いと思う。伸びしろしかない」と、笑顔で胸を張った。そんな隆の勝の30代の誓いは-。「向上心を忘れず、常に上を目指す」。「上は大関か」の問いに「はい。不可能はないので」と即答。初優勝も「三度目の正直です」と、今場所、狙っていく。30歳が、尽きない夢へと突き進む。【高田文太】