【侍ジャパン】2球場環境は天国から地獄 井端監督世界一へ台湾視察「自分の目で見るのが大事」
<潜入> 侍ジャパン井端弘和監督(49)が「ラグザス presents 第3回プレミア12」で戦う台湾での2会場を視察した。1次ラウンドでは開幕戦オーストラリア戦(11月13日)をバンテリンドームで戦い、台湾に移動して同15日からの4連戦でいきなり宿敵・韓国、台湾と激突。ヤマ場の2試合は昨年12月に新設された台北ドームで開催される一方で、キューバ、ドミニカ共和国とは開場25年目の天母球場となる。実際に足を踏み入れて「潜入」してみると、その2球場は両極端だった。 ◇ ◇ ◇ 台北ドームのグラウンドに立った井端監督は「高いな~」といいながら屋根を見上げた。最高地点で約75メートルにも及ぶ高さは、国内の東京ドームやバンテリンドームと比べても抜けている。両翼102メートル、中堅122メートルのサイズに加え、円形でなく角形の外野フェンスが特徴的。台湾初のドーム球場は最大4万人収容で昨年12月に開場。3月に親善試合でプレーした巨人の選手、コーチから情報を収集した上で、井端監督は「自分の目で見るのが大事」と細部まで目を凝らした。 同行した吉見投手コーチは実際マウンドに立って、固さもチェックした上で「高いし硬い。米国みたい。すごく投げやすそう」。ただ、前回19年大会では使用されなかった天母球場は一転する。ベンチ裏にあるブルペンの傾斜が低く、マウンドとのギャップに悪い予感を漂わせた。照明の照度も気にかけた。井端監督は「多少暗いかなと思うけど大丈夫だと思う。ただ風が吹いたら日本とは比べものにならないくらい強さが出るので、そこは注意したい」と、外野に4本立つ照明塔をじっと見つめた。グラウンドのサイズも台北ドームより両翼が約1メートル狭い。さらにベンチは扇風機が数台天井に設置されているだけ。環境面だけでいえばまさに天国から地獄。雲泥の差がある。 比較的情報の多い韓国、台湾とは実力勝負できる環境が整う。ただ昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップで対戦した台湾には、6回1死まで1人も走者を出せず苦しめられた古林睿煬や、徐若熙らいずれも最速157キロの若き2投手が台頭。加えて、米国のマイナーリーグでプレーする選手にも声をかけようとしているという情報も入ってきた。キューバ、ドミニカ共和国は情報量が圧倒的に少なく未知数が高い。4大会連続世界一へ、万全の準備を整える侍ジャパン。高低差の激しい台湾ラウンドを制した先に頂点が見えてくる。【栗田成芳】 ○…吉見投手コーチが台鋼ホークスでプレーする元同僚のモヤと再会した。中日、オリックスとNPBで4年間プレーし、通算39本塁打をマークした。今季からプレーする台湾での登録名は「魔鷹」。チームの4番を任されるモヤに、同コーチは「中日時代は外国人枠の関係で2軍に落ちても腐らず本当に一生懸命練習する姿が印象的だった。『元気?』って日本語で話してくれたのもうれしかったですね」と喜んだ。