【解説】「無料」期限迫るHPVワクチン…子宮けいがん“事前”に防ぐには?【#きっかけ解説】
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ニュースの「その先」を考える“記者カイセツ”。 9日は「無料の期限が迫るHPVワクチン」について、厚生労働省担当の馬野恵里花記者の解説です。【#きっかけ解説】
──そもそもHPVワクチンとはどういうものかと言いますと… 子宮けいがんを防ぐためのワクチンです。子宮けいがんは、性交渉でヒトパピローマウイルス=HPVに感染することが主な原因で発症する「がん」です。 このウイルスは、ほとんどの人が一生に一度は感染するありふれたものです。そのうち一部の人で、子宮けいがんになってしまうことがあり、がんと診断される人は、日本では年間1万人以上います。また亡くなる人は年間3000人ほどいます。
──命を落とすこともある子宮けいがんですが、それがワクチンで防げるんですよね? 子宮けいがんは、がんの中では珍しい「がんになる前」に防げる病気です。HPVに感染してからがんになるまでは、数年から10年以上かかるといわれています。ですので、ワクチンでそもそものHPVへの感染を防ぎ、その上で定期的に検診を受けることで、がんになるのを高い確率で防ぐことができるのです。
──ワクチン接種は国が支援していますよね? はい。ワクチンは「3回接種」が原則で本来10万円ほどかかりますが、小学校6年生から高校1年生相当の女の子は「定期接種」として無料でできます。 さらに来年3月末までは特例として、今年度17歳から27歳になる女性も「キャッチアップ接種」として無料で接種できます。最短で4か月あれば3回接種できるので、キャッチアップ世代は遅くとも11月中旬頃までに1回目を打てば、無料で3回打つことができます。
──この世代が特例の対象となっているのはなぜでしょうか? 実は、2013年に接種した人の一部から様々な症状の訴えを受け、厚労省は接種を積極的に呼びかけることをやめました。 しかしその後、疫学調査で症状とワクチンの因果関係は証明されず、安全性と有効性が確認できたとして、2022年度に接種の推奨が再開しました。この間、接種機会を逃してしまった世代がキャッチアップ接種の対象となっているのです。 また、専門家によりますと、打たないより1回でも打つことで効果が得られるということです。 ──安全性が確認されているんですね。打つ前に気をつけることはありますか? 自分のからだのことですので、自分でしっかり考えてみることが重要です。そのうえで、無料で受けられる期限が迫っていますので、打てる医療機関や予約の方法などを調べてみてもいいかもしれません。