『仮面ライダーガヴ』パイロット監督・杉原輝昭「お菓子を使って仮面ライダーに変身!? その斬新すぎる設定で逆に僕は燃えました!」
――確かにお菓子が戦いの道具になるなんて想像もつかないし、ワクワクしますよね。 杉原 まったくそう。だから今すごく燃えています。 ■仮面ライダー1号と共通項が多いガヴ ――主人公のショウマは、謎に包まれた異世界から人間の世界にやって来た青年です。 杉原 今作は、ショウマが人間界でいろんな人と出会い、自分の居場所を見つけて成長していく物語です。実はここ何年かの作品の中では、仮面ライダー1号との共通項が多い作品だとも思っています。 ――というと? 杉原 1号はショッカーによって改造人間にされますが、ショウマも人間ではない知的生命体・グラニュート。どちらも変身前から人間ではないという意味で、周りの人間とは異なる"孤独な存在"です。 また1号はショッカーから与えられた力でショッカーを倒す。ショウマは、人間をさらう同じ種族のグラニュートを倒す。そのあたりの設定も、1号とガヴはリンクしています。 ――「ショウマが人間界で居場所を見つけていく物語」という言葉がありました。言い換えると、どちらも"人ならざる者"がアイデンティティを見つけていく物語というか。 杉原 そうです。あとは、プロデューサーの武部(直美)さんや脚本の香村(純子)さんとも話したんですけど、ショウマが戦う力を得てそれを使うためには、どういうハートを持っているかが重要だと。 ただ力を持っているから、変身して戦う。そうではなく、どんな敵にやられても諦めずに何度でも立ち向かっていく勇気があるからこそ、仮面ライダーに変身して戦える。そういう描き方も、1号とガヴは共通点があると思います。 ――『仮面ライダーガヴ』の設定が斬新だからこそ、原点を意識した部分もありますか? 杉原 それはあるかもしれません。ただ、今作に限らず1号という原点は、どの作品の監督も常にどこかで意識しているものだと思いますけどね。 ――杉原監督が、作品づくりで心がけているのは? 杉原 小学生ぐらいの子供がメインターゲットなので、難しい表現をやりすぎても伝わりづらいし、かといって簡単な表現だけだと、子供に対して失礼だと思うんです。 だから、わかりやすく伝わる部分もありつつ、僕が子供の頃に影響を受けた映画のように、細かい設定や伏線、深みや重みのあるドラマも盛り込んで、子供の感性の可能性に訴えかけたり、大人になって見返したときに新たな発見がある作品にしようと、監督として心がけています。