「Appleの昔のイヤホン」で作られた"ウエディングドレス"に、会場がどよめき。ロンドンコレクションで話題に
FXチャンネルのドラマシリーズ『Feud: Capote vs. The Swans』(小説家トルーマン・カポーティが、"スワン"と呼ばれるニューヨークの上流社会の女性たちと激しく対立する様子を描いた話題作)の影響もあって、ここ最近は、兼ねてからの女性らしさや、上品さを表現したレディライクなスタイルが話題になっている。 【写真】会場がザワつくのも納得⁈ Appleのイヤホンを再利用したウエディングドレス だが、現代のスワンたちのルックは必ずしも昔と同じではない。現代は、ほんの少し衝撃的で、一風変わっていて大胆、そんな要素をもったルックに心地よさを感じているように思う。 スワンの代表格とも名高い、C.Zゲスト(女優・作家・ファッションデザイナーなど幅広く活躍したファッションリーダー)は、Appleのイヤホンに覆われたウエディングドレスなんて絶対着ないだろうけど、2024年のスワンはおそらく着るだろう。少なくとも、新星デザイナーのコナー・アイヴスはそう考えた。 生まれも育ちもニューヨークながらロンドンを拠点に活動するアイヴスは、2024-25年秋冬コレクションを現代のスワンに捧げた。 今シーズンのアイヴスは、とにかく典型的なタイプを離れ、自分をインスパイアしてくれる女性像を表現した作品を数多く発表。それを最も体現したと言える一着が「The Headphone Bride(ザ・ヘッドフォン・ブライド)」と題した最後のブライダルルックだろう。 これにはどよめきが起こった。アイヴスの親友でもあるモデルのティッシュ・ウェインストックが着用したこの一着は、インドのコルカタにある工場で製作されたもの。アイヴスの刺繍工場の隣にあったイヤホン工場から出た残余物や切れ端を使ったオーガンザのドレスだ。ビヨークの『Headphone』をBGMに盛り上がるサヴォイ・ホテルで、モデルのウェインストックは堂々とこのヘッドフォンが装飾されたウエディングドレスを披露してみせた。 最初はまさかそれが"Appleのイヤホン"だなんて、思いもしなかった。大きな白い飾りが音楽に合わせて揺れているようにしか見えなかった。だが、モデルが何やら手に持っていて、それがiPodだ!と気づいた瞬間、ドレスの全体像がはっきりとわかった。 アイヴスはショーノートに「自身の仕事の多くは、廃棄物という概念に対する不快感から生まれる」と書いていた。「多ければ多いほどよく、その過程で失われたものはただのジャンクになる」という価値観に影響を受けて、今シーズンのテクニックの多くが生まれたという。 彼女のヘッドフォンドレスは、古いiPodやコード付きヘッドホンを再発見してファッションアクセサリーとして使うZ世代のトレンドを思い出させる。コナー・アイヴスが生み出した花嫁は、そんな彼らに向けてアピールする、まさに突飛でちょっと奇妙な類のもの。 これこそ、現代のスワンたちが追い求める究極のファッションなのだ。
from Harper's BAZAAR US