ブーム到来!? 古くて新しい名古屋めし「小倉トースト」~大竹敏之の「シン・名古屋めし」
名古屋めしの中で今、最も「キテる」一品は何でしょう…? それは「小倉トースト」です(筆者比)!!
様々なブームを追い風にランキングでも躍進
2022年になごやめし普及促進協議会が行ったWebアンケート「1億人のなごやめし総選挙2022」においては6位にランクイン。「ひつまぶし」「味噌カツ」「手羽先」「味噌煮込みうどん」「天むす」に続く好位置につけました。同会による2015年の同様のアンケートでは12位でしたから、大幅なジャンプアップです。当番組のアンケートでは10位でしたが、それでも並みいる名古屋めしの中でトップ10の常連となっているのですから、あなどれない存在であることは間違いありません。 小倉トーストとはバター(またはマーガリン)トーストとあんこを組み合わせた喫茶店スイーツ。あんこの甘さとバターの塩気がマッチし、こんがり焼いたパンの温かさが甘じょっぱさをいっそう引き立てます。実は思いのほか歴史があり、誕生は大正末期。堂々たる100年フードなのです。 近年存在感が増している一番の理由は2010年代以降の「あんバター」ブーム。ハード系のあんパンに固形バターをトッピングしたものなどがベーカリーで人気となり、そのルーツとして名古屋の小倉トーストにも光が当たるようになりました。 もうひとつがSNS時代の到来とレトロブーム。昭和の趣が漂う純喫茶が「映える」とSNSで盛んに投稿されるようになり、名古屋では昔ながらの喫茶店の定番商品である小倉トーストもまた映える対象に。名古屋駅近くの老舗「コーヒーハウスかこ花車本店」が、あんこ+ジャム+クリームトリプルトッピングの小倉トーストで大行列の人気店になったのはその象徴です。
今や名古屋めしスナックの一大勢力
小倉トースト人気を裏づける動きも各方面で見られます。例えば名古屋みやげスナック。キヨスクなどで販売される名古屋めしテイストのスナックは、かつては大半が「手羽先味」でした。しかし、2011年発売の「小倉トーストラングドシャ」がロングセラーとして名古屋駅のキヨスクで販売数トップ5に入るほど存在感を発揮し、それに引っ張られるように小倉トースト系の商品がじわじわ増加中。東海キヨスクによると、同社の取り扱い商品のうち手羽先系は37品目、小倉トースト系は19品目(2022年時点)と手羽先系の牙城を脅かす存在に。2023年3月発売の「コメダ珈琲店の小倉トーストサブレ」は発売1週間で4万個の大ヒットを記録し、勢いはとどまるところを知りません。名古屋駅の名古屋みやげスナックシーンでは、小倉トーストがまさしく「キテる!」のです。