【2024年度の公的年金は2.7%増額】年金収入が増えても生活がラクにならない理由とは?
2024年度の公的年金は2.7%の増額になります。2023年度から2年連続の増額なので、生活に余裕ができるかもしれないと期待が持てるところです。 【2024年度 年金額の例】国民年金・厚生年金は2023年度からいくら増える?「年金額ってこんな風に決まるんだ…」年金額を決定する際のフロー図もチェック 物価高が続く中で、年金の増額は喜ばしいことですが、実際には生活がラクにならないとも指摘されています。どういった理由からそのように言われているのでしょうか。 この記事では、2024年度の年金額を確認するとともに、増額されても生活がラクにならない理由について解説していきます。 また、老後資金の準備方法についてもご紹介しますので併せて確認していきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
2024年度の年金額は2.7%増額
2024年1月29日、厚生労働省は2024年度(令和6年度)の公的年金額を2023年度(令和5年度)よりも2.7%引き上げることを発表しました。 これにより、2024年度の年金額は以下の通りとなります。 個人事業主や自営業の方などが受給する国民年金は、満額で月額6万8000円で、2023年度と比べて1750円増額します。なお、この金額は保険料を40年間(480月)納めた場合のものです。 厚生年金は夫婦2人分の標準的な受給額となっており、2人分の国民年金と夫(妻)の厚生年金の合計額です。2024年度は23万483円で2023年度よりも6001円増額になります。 年額で見ると、国民年金は2万1000円の増額、厚生年金は約7万2000円の増額になるため、生活費に若干ゆとりが出ると思われます。 しかし、実質的には目減りとなり生活はラクにならない可能性があるのです。 増額なのに実質目減りとはどういうことなのでしょう。その理由について、次章で詳しく解説していきます。
増額でも実質目減りと言われている理由
公的年金受給額は2年連続で増額されていますが、生活にゆとりが出ていると感じられる方は少ないでしょう。 というのも、将来にわたり安定した年金制度を確保するための「マクロ経済スライド」が発動されたからです。 マクロ経済スライドとは、保険料を納める現役世代の負担が過度に増大しないように、現役世代の人口減少や平均余命の伸びなどを元に、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。 具体的には、賃金や物価の改定率から「スライド調整率」を差し引いて年金額を改定します。 2024年の物価変動率は3.2%、名目手取り賃金変動率は3.1%で、マクロ経済スライドによるスライド調整率は▲0.4%です。 より数値の小さい名目手取り賃金変動率3.1%からスライド調整率の0.4%を差し引いて、年金額は2.7%の増額となりました。 物価上昇率が3.2%なので、年金額が2.7%増額になっても値上げに追い付けず、生活はラクになるどころか厳しさが継続することになるのです。