まるで「綱引き」...2匹の猛毒ヘビが同じ獲物を捕食しようとして争う「レア映像」が公開される 野生では初(海外)
<コロンビアの熱帯雨林で、2匹のツノマベニサンゴヘビが1匹のアシナシイモリをめぐって争う様子が撮影された>
2匹のツノマベニサンゴヘビ(Micrurus mipartitus)が獲物をめぐって争っている様子が初めて記録された。 【動画】まるで「綱引き」...「1匹の獲物」をめぐって2匹のツノマベニサンゴヘビが争う衝撃映像 強い毒をもつこの2匹のヘビは1匹のアシナシイモリ(四肢のない原始的な両生類)を食べようとしているところを撮影された。コブラ科に属するヘビで労働寄生(別名「盗み寄生」、食物を横取りすること)の事例が記録されたのはこれが初めてのこと。 この記録は、オーストリア爬虫類学会の国際的な査読付きオープンアクセスジャーナル「Herpetozoa」に掲載された最新研究のなかで発表された。映像では2匹それぞれが獲物をあごでがっちりくわえ、綱引きをしているように見える。 2匹のヘビの争いはコロンビア西部バジェ・デル・カウカ県の熱帯雨林で勃発した。研究論文によれば、観察中に1匹がもう1匹にかみついたという。ただし、これは偶発的なものだと考えられている。17分にわたって争いが続いた後、片方が敗れて獲物を相手に譲った。勝ったほうのヘビは獲物と共にその場を離れた。 <飼育下ではしばしば見られる行動> 動物種において餌の強奪が記録された例はこれまでにもある。だが自然環境にいるヘビで観察されることは極めて稀だ。研究論文によると、飼育下のヘビでは比較的よく見られるという。 論文の筆頭著者ヘンリック・ブリングソーは声明のなかでこう述べている。「飼育下のヘビの場合、2匹以上のヘビが入れられた飼育容器で1匹のエサしか与えられていないケースでしばしばそうした行動をとる。でも、野生でこれがもっと頻繁に観察されてこなかったのがむしろ驚きだ」 野生での事例があまり報告されていないのは、これらのヘビの「見つけにくい特性」に起因する。自然の中でヘビを観察するのは難しく、ましてやこうした行動を見るとなればなおさらだ。 ツノマベニサンゴヘビが属するコブラ科は世界でもとりわけ危険なヘビのグループに数えられる。コブラ科にはマンバ、コブラ、タイパン、タイガースネーク、デスアダー、ウミヘビ、サンゴヘビなど400種もの多様なヘビが属している。ツノマベニサンゴヘビは中米と南米北部に生息する在来種だ。 今回の研究は、この種のヘビとその獲物との関わり方について新たな知見をもたらすものだ。 「彼らはアシナシイモリを検出する際、とりわけ2匹が同じ獲物を感知した今回のケースから化学受容器に頼っている可能性が高いと考えられる。飼育下での事例が多く知られていることからすれば、ヘビの労働寄生は過去に発表されたごくわずかな事例が示すよりも頻繁に起きている可能性がある」 (翻訳:ガリレオ)
ロビン・ホワイト