2月の飲食料品値上げ 1626品目 4カ月ぶり1千品目台 4月は3千品目超え「ラッシュ」の可能性
年間最大1~1.5万品目予想 コストプッシュ型から転換、緩やかな値上げ続く
足元では、円安の影響による輸入コスト増といった原材料以外のコスト高騰分を価格へ十分に反映できないケースもある。ただ、前年末に円高基調で推移した為替レートで、将来的な輸入コストの低下に期待感も高まっている。中東情勢の混乱や電気代の引き上げなどリスクはあるものの、原料高騰を中心とした値上げ機運は前年の同じ時期に比べて後退傾向がみられる。 短期的には「物流の2024年問題」に対応した物流費の大幅な上昇が見込まれ、3・4月にかけて局所的な値上げが加速するとみられる。特に4月は、1月末時点で2千品目に迫っており、昨年10月以来6ヵ月ぶりとなる3千品目に到達する可能性がある。 値上げ内容の変化も注目される。賃金上昇に伴う値上げが顕在化しており、「人件費」を理由とした値上げの割合は2024年5月までの品目数で約2割を占め、前年同期の1.8倍に拡大した。一部のメーカーでは、過去の値上げによる収益を人件費へ投資・再分配する動きも出始めた。賃上げ原資の確保に向けた持続的な値上げが、食品分野全体に広がるかが注目される。 2024年の値上げは前年のコスト高を解消する目的に加え、物流費の上昇や賃上げなど人件費増に対応した値上げが続くとみられる。内閣府がまとめた調査では、食品値上げを「許容できる」と答えた人が7割を超えた。ただ、値上げ幅については「1割まで」の割合が最多で、食品価格の高騰については価格の安いものに切り替えたと答えた割合が半数を超えるなど、消費者の節約志向は依然根強い。そのため各社では多品目かつ大幅な値上げには慎重さもみられ、年間では最大1~1.5万品目前後、月平均で1~2千品目前後の緩やかな値上げペースが続くとみられる。