【社説】「令状ショッピング」非難していた尹大統領、自ら「裁判所ショッピング」か
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨日、弁護団を通して、自分を起訴したり事前逮捕状を請求したりすれば裁判に応じるという立場を明らかにした。そして尹大統領の弁護団は「無効な逮捕状で進行される捜査に応じることはできない」という立場は曲げなかった。事前逮捕状もソウル西部地裁に請求されれば受け入れることはできないと主張した。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が請求してもソウル中央地裁にしてこそ応じるということだ。自分たちが法的手続きの基準を定めるという主張だが、共感しがたい。公捜処に向けて「令状ショッピング」と非難していたが、自分たちが「裁判所ショッピング」をするというのと変わらない。 司法府は尹大統領側の逮捕状無効主張を一蹴している。尹大統領側が違法・無効として出した異議申請をソウル西部地裁が棄却した。ソウル西部地裁が逮捕状執行のための捜索令状を発付しながら「刑事訴訟法110・111条を適用しない」と記載したことに関連し、法院行政処長は国会の懸案質疑で「物的な家宅捜索と人的な逮捕捜索は別に追求するのが多数の学説」と説明した。適法な令状という趣旨だ。我々の現行法は裁判所が発付した令状に対して別途の抗告手続きを設けていない。ひとまず承服し、令状実質審査や拘束適否審などで争うことになっている。被疑者が誰であろうと決して便宜で選べるものではない。 尹大統領が不適切な主張を続ける間、逮捕状再執行をめぐり緊張が高まっている。公捜処と警察は今回が「最後の執行」としながらあらゆる手段を検討している。大統領警護処もこれに対抗してバス数台と鉄条網などで官邸を要塞化している。公権力の間の危険な衝突が発生しないか憂慮される。こうした事態を防ぐには尹大統領が自ら官邸を出て調査を受ける方法しかない。虚偽逃避説まで出てくる状況であり、「国格」が落ちるのを防ぐためにも尹大統領は正しく行動しなければいけない。それでも尹大統領側は「特攻隊や機動隊を動員して逮捕を進めるというのは反乱であり内乱」と主張する。内乱の被疑者として居直りと変わらない。 昨日、国会本会議で「内乱特検法」の再表決が行われたが、出席議員の3分の2の200人に2票足りず廃案となった。民主党は特検法を再発議する方針だが、捜査をめぐる論争を抑えるには特検に捜査を任せるのが代案と考えられる。このため民主党は野党でなく第三者に特検推薦権を譲ることにした。国民の力も尹大統領を保護するような姿として映っては未来がないという点を忘れてはならない。党内の離脱票が今回の本会議再投票過程で以前より増えた現実を直視し、違憲性があると主張する特検法案をどう改めるかという案を出して野党との協議に入ることを望む。