年休3日のたまプラーザ、テナントに「フレックス休暇」。商業施設、店閉じてても「価値上がる」
人手不足の波が、商業施設のあり方にも変化をもたらしている。 たまプラの愛称で知られる大型商業施設「たまプラーザ テラス」は2025年1月30日から、テナント店舗に対して「フレックス休暇」を本導入する。 【全画像をみる】年休3日のたまプラーザ、テナントに「フレックス休暇」。商業施設、店閉じてても「価値上がる」 年間3日のたまプラの全館休館日とは別に、テナント側が自由に年4日間の休日を設けることができる。 商業施設のテナント営業は施設自体の営業日に合わせるのが一般的な中、新たな試みだ。商業施設は多種多様な店が集結していることで集客につながっているが、開館日にテナントが自由に休むことは、施設の魅力維持の観点ではマイナスではないのか。
「施設の価値上がる」
「逆に、施設の価値が上がると思っています」 たまプラを運営する東急モールズデベロップメントの広報担当者は、こう話す。 テナントの休暇制度をつくるきっかけは、各店舗の店長に対するヒアリングの中で、人手不足や休館日が少ないことによる負担の大きさを訴える意見が挙がったことだった。 たまプラには約140のテナントが入り、従業員ら約3000人が働く。2024年、試験導入の位置づけで、休館日とは別に各テナントが2日まで店休日を取れる取り組みを実施した。 8店舗が計15日の休暇を取得し、店側からは「リフレッシュや全体一斉の勉強会に利用でき、とても有意義に利用することができた」「スタッフ同士の交流が深まり、チームプレーのレベルがさらに高まった」と好意的に受け止められた。 気になるのは顧客の声だ。開館日だから当然店舗も開いていると思って訪れるケースはありそうだが、 「2カ月前から店休日を告知することを徹底しました。今のところは、『行ったのにやっていなかった』という声は聞こえてきていません」 という。 東急モールズデベロップメントによると、テナントの従業員の多くは周辺の住人。従業員であり顧客という人が多いため、むしろプラスに受け止められているという。 これらの手応えから、2025年からはお店の「フレックス休暇」の本格導入を決めた。試験導入では年間2日までだったが、2025年からは4日まで休暇を取得できるようになる。 施設の休館日と合わせて連休を取得したい店舗も多いと予測し、仮に特定の日に休日取得希望が重なっても分散化は求めないという。
土屋咲花