死刑に「賛成」?「反対」? スタジオでも意見割れる 簡単に出せない結論 まずは議論を
えん罪?執行された死刑囚の「辞世の句」
神戸:橋本さんは、死刑についてどんなふうに考えていますか。 橋本由紀アナウンサー(以下、橋本):私はこれまで、結構被害者遺族の心情の方を考えて「(死刑制度が)あった方が(いい)」と思っていたんですけれど、最近ドラマや映画を観たのをきっかけに、死刑について考えていました。ひとつは亀梨和也さん主演の『正体』というドラマ。えん罪で死刑が決まって、刑が執行される前に脱走して無実を証明していく、というストーリーです。もうひとつ、パク・シネさんが出演している映画『7番房の奇跡』はえん罪で死刑が執行されてしまう内容で、韓国でもすごく話題になっています。 神戸:死刑はあった方がいいのではないか、と思っていたけれど…。 橋本:えん罪に注目するようになりました。 神戸:実は「福岡事件」と呼ばれている殺人事件が、戦後まもなく起きました。死刑を執行された人物は、実はえん罪の可能性が高いのではないか、と言われているんです。死刑執行の直前に読んだ時世の句が残っています。 <叫びたし寒満月の割れるほど> 神戸:「寒満月」は、冬の満月です。 田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):「無実を訴えたい叫び」なんですかね…。 神戸:事実関係はわからない前提ですが、この句の迫力。えん罪の可能性が強いのではないかと思わせます。
死刑「廃止」「存続」アナウンサーたちも意見割れる
神戸:私自身は、「死刑は廃止だろう」と、ずっと昔から思っています。田畑さんは? 田畑:僕も、最高刑は無期懲役がいいんじゃないか、と。 神戸:理由は何ですか? 田畑:まず、人が人を殺すのはよくない。法治国家の判決によって、結局死刑で人を殺してしまうことにつながる、というのは、何か矛盾しているんじゃないかと。 神戸:なるほど。僕も同感です。殺人罪を犯した人間に対して「死をもって償わせろ」という感覚は、被害者感情、国民感情としてわかるんですけど、1人殺しただけではほぼ死刑にはならないですよね。判例の基準がありますから。2人以上です。 神戸:つまり、自分の家族が1人殺されても相手は死刑にはならない、ということです。「死をもって償え」「自分の家族が殺された時、犯人を死刑にしなくて許せるのか」と言われても、現実論として、ほとんどの場合は死刑にはならない。感覚的に「自分の家族が殺されたら死刑」というのはわかるけれど、ほとんどそうなってはいない、という現実があります。 神戸:また、死刑がなくなっている国、停止されている国でも、被害者感情は同じですよね。これでは、あまり死刑存続の理由にならないんじゃないか、と僕は思っています。