6月の食品値上げ 614品目 「円安値上げ」全品目の3割に拡大 海苔製品で一斉値上げ
今後の見通し:「円安値上げ」が顕在化 年後半にかけてさらに拡大する可能性
大雨や猛暑、干ばつなどをはじめとする世界的な異常気象で、不作・凶作となった原材料の価格高騰を受けた値上げが広がっている。カカオ豆高騰の余波を受けたチョコレートのほか、主要生産国で不作が相次ぎ世界的な供給不足に直面したオレンジ果汁などで記録的な価格高騰が発生し、断続的な値上げや容量変更などを余儀なくされた。いずれも局地的な「原材料高」に起因した値上げではあるものの、輸入原材料を多く使用する食品では今後、不作や地政学的リスクによる急激な価格変動リスクを織り込んだ値上げが進む可能性がある。 加えて、34年ぶりの安値となった円ドル為替相場は、2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の円安水準を超えており、24年4月における円ベースの輸入物価指数は前年同月比6.4%の上昇となるなど影響が顕在化している。既に、24年通年の値上げ要因では全品目数のうち3割を「円安」が占めるなど影響力が増しており、今秋にかけて「円安値上げ」の割合がさらに高まる局面も予想される。 2024年後半の値上げは、店頭での値下げ圧力とコストアップの板挟みとなりながら、当面は月平均1千品目前後、年間で最大1.5万品目の値上げペースが続くとみられる。ただ、1ドル150円台後半の円安水準が長期化、または円安が一段と進行した場合、当初予想の品目数から上振れすることも想定される。