怒りを上手にコントロールする方法とは?
怒りによって物事が良い方向に動く場合もあれば、悲惨な結果になることもある。静かに燃える怒り、爆発する怒り。最近、ネットでも街なかでも怒る人が多いのはなぜだろう? 現代人の心理について、フランスの心理学者で精神分析学者のモニク・ド・ケルマデックに「マダム・フィガロ」がインタビュー。 職場で何度もひどいことを言われてイライラ、隣家の車が邪魔なところに駐車していることにカッとなり、朝の着替えをぐずぐずしている子どもに声を荒げる。怒りのタネはどこにでも転がっている。家の中でも職場でも公共の場でも。 運転しながら自制心を失うことだって珍しくない。2021年5月21日、フランスのヴァンシ・オートルート社の依頼で世論調査会社のIPSOSがおこなったヨーロッパ安全運転指標調査が発表された。ハンドルを握ったフランス人はとりわけ攻撃的になるようだ。フランス人の65%はほかのドライバーに対し、ののしったことがあるそうだ。ヨーロッパ全体の平均は52%なのに。 どうして我々はカッとなり、怒りに身を任せてしまうのだろうか。現代人はストレスの多い暮らしをしているから、ということだけで片付けられる問題なのだろうか。 臨床心理学者で精神分析学者のモニク・ドゥ・ケルマデックの意見を聞いた。彼女は著書『Oser la colère(原題訳:怒る勇気)』(Flammarion刊)の中で、軽く見過ごされがちな怒りの感情をモンタージュ写真のように分析し、日常の中でそれがどう抑圧され、あるいは逆に表出されているのかを説明している。 怒りというものをきちんと理解し、うまく手なずければ、それは私たちが暮らすうえでの味方となりうる。 ----(マダム・フィガロ)近年、世の中に怒りが増大しているとのことですが、それはなぜなのでしょうか? ここ10年ほどの間に、私たちの経済状況は悪化しました。かつてないほどの政治的分断、そしてコロナウィルスのパンデミック----多くの問題に直面して、未来が不確かなものであること、もはや物事を実はコントロールできていないことを我々は思い知らされたのです。 そうしたすべてのことが、世の中に不安やイライラ感、フラストレーション、怒りをもたらしています。もちろん、怒りは常に存在していましたが、近年の社会の激変によって、個人レベルでより強く感じられるようになったのです。 ----この怒りはどのような形で現れるのでしょうか? 怒りの増大に伴って暴力も増えています。今日の世界はまるで火薬庫、我々は日々それを実感しています。学校でのいじめ、家庭内暴力、職場やネット上でも言葉の暴力が平気でたれ流されています。言うまでもなく、各地で紛争も蔓延していますよね。