ファンタジー“で、あって欲しい”韓国発の政治サスペンス『対外秘』がエグかった!
【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
昨今、世界各国で政治の話題が繰り広げられて注目を集めている中、「こんなにエグく描いていいの!?」という、 映画『対外秘』予告編 「にんにくマシマシ」みたいな政治サスペンス映画が、誕生しました。 政治家を主役に置いて、反社会的組織、資産家、マスコミ、政界の黒幕などが入り乱れ、ドロドロの立身出世劇が行われます。 本当に、エグい。 「政治をする人って“社会を良くしたい人”なんじゃないの?」と、泣きそうになりました。 でも、最後の方には"正義"と"残酷"が、共存する、背中が痺れるようなシーンもあって、本当に面白かった。 真に受けると、人間も政治も信じられなくなること、間違いなしです。 映画はフィクションですから! フィクションであってくれ! 韓国らしい、デフォルメたっぷりのケレン味(ごまかしやハッタリを利かせ、俗受けを狙った演出や見た目本位の奇抜さをねらった演出のこと)がある作品だったのですが、そこに妙な真実味があり「モデルになった事件でもあったのだろうか」「取材してゼロから作ったんだったら、監督、頭おかしいな」と、思える傑作でした。 それぞれの信念がきちんと描かれているうえで、誰も正しくなくて“正しい”。 なに言ってるかわかんないと思いますが、映画を観たらわかってもらえると思います。 結局1本しっかり観ないと映画の抱えているメッセージなんて伝わんないんですよね。 ヤ◯ザが、一番かっこよくて悲しいのも、制作側のやり口がズルい。 汚い大人しか出てこないはずなのに、観終わったあと、なぜか爽快感すら感じる不思議な作品でした。 これから、映画祭などで展開したあとに、年末には劇場公開されるらしいので、皆様、是非ご注目下さい!
黒田勇樹(くろだ・ゆうき) 1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。 主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。 2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。 現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。