初ブラジャーや初経とどう向き合う? シンパパが明かす娘の発育 一番の原因は“成長の証”を隠す風潮
■娘の発育に悩めるシングルファーザーへ「娘さんにとっての“斜めの関係”を見つけて」
一般にシングルファーザーは身近に子育てについて相談できる相手が少なく、悩みを抱えがちだとされる。令和3年度の国勢調査では14.9万世帯がシングルファーザー家庭とのこと。119.5万世帯のシングルマザー家庭と比べてマイノリティだからこその支援が求められる。 大手下着メーカーのワコールでは2001年から小4~中3の子どもや保護者を対象とした下着教室「ツボミスクール」を小中学校で提供しているが、2020年からは男性の保護者も参加しやすいようにオンラインの「学ブラ講座」を開講した。 「第二次性徴については小4から保健体育で学びますが、下着の指導はなく、家庭に任されています。適切な時期にブラジャーをつけるのはお子さんの体を守るために大切なことですが、特に父子家庭ですと、お父さま、娘さんともにいつからつければいいのか、どんな種類があるのか、何を選べばいいのか、そもそもどこへ買いに行けばいいのかわからなくて困っているとおっしゃいます」(ワコール ツボミスクール講師・上地朋子さん) 当教室では、ワコールが長年にわたって蓄積してきた女性の体のデータをもとに、成長のステップに合わせた下着選びをアドバイスしている。しかし思春期の心はデリケートであり、正しい知識があっても、ブラジャーを遠ざけてしまう事情を抱えている子どももいるようだ。 「私は年間で多数の小学校に訪れるのですが、たまに十分に胸が発育しているのにブラジャーをつけていない生徒を見かけることがあります。『そろそろ必要かもね』とお声がけしたところ、『うちはパパが洗濯係。パパにブラジャーを見られたり触られたりしたくないんです』と吐露する子がいました。そうでなくても『パパに胸が膨らみ始めたと思われるのはすごくイヤ』と言う子はとても多いです」(上地さん) 父親にとってはショックかもしれないが、それが典型的な思春期の女の子の心理だ。しかしそうした難しい時期に、自分から下着について切り出すのも難しい。そんな悩みを抱えるシングルファーザーに、上地さんは「娘さんにとっての“斜めの関係”を見つけてあげてほしい」とアドバイスする。 「“上の関係”とは親や担任の先生などのこと。“横の関係”とはお友だちのこと。“斜めの関係”とはそのどれとも違う、娘さんにとって安心できる同性の相談相手のことです。たとえば親戚のお姉さん、養護教諭の先生、仲のいいお友だちのママ、Kさんのようにおばあさまでもいいですね。お父さま1人で抱え込まず、娘さんの成長を一緒に喜んでくれる周囲の大人たち、そうした関係性を築くのも大切なことなのかなと思います」(上地さん)