マセラティ「110周年イベント」で見た栄枯盛衰ブランドの超希少車たち
このクルマは、640馬力の3.0リッターV6エンジンを搭載する。ミュージカルなどで活躍するエンターテイナーの城田優氏が、アンバサダーとして出席してアンヴェールを行った。 2024年8月にアメリカで発表されたモデルで、レースカーを別にすれば、もっともパワフルなマセラティだ。価格は6000万円超とのことだが、日本市場への割り当て台数は発表されていない(すでに売り切れという噂もある)。 ■美しいデザインは艶を失っても
東京プリンスホテルに並んだ新旧マセラティの中でも、とりわけ希少なのが、レーシングモデルの「A6GCSスカリエッティ(1953年)」だ。 「A6GCS」は、グランプリ用のF2マシンとして開発された車両で、今回持ち込まれた個体はその名のとおり、イタリア車ファンにはよく知られたカロッツェリア・スカリエッティが製作したボディをまとう。なんと、世界に1台きりのクルマだとか。 この記事の冒頭で「“発見”された車両もある」としたのは、1968年に日本に輸入され、2017年に茨城県の倉庫で見つかった「メキシコ(1968年)」のこと。
このメキシコは、塗装もオリジナルなのか、ツヤが失われており傷んで見える状態のままの参加であったが、それが逆に歴史を大切にするオーナーの心意気のように感じられた。 車体を製作したビニャーレのために、ジョバンニ・ミケロッティがデザインしたボディの美しさも、依然として大きな魅力だった。 スーパーカー世代からは、オリジナルの「ギブリ(1968年)」「ギブリスパイダー(1969年)「ギブリSS(1972年)」や「インディ(1971年)」「カムシン(1974年)」、それに「ボーラ(1975年)」などが、注目されていた。
さらに古いマセラティを愛する層は、「ミストラル(1964年)」や「ミストラルスパイダー(1965年)」「シーブリング シリーズⅡ(1965年)」、そして先に触れた「A6GCS」や「メキシコ」に、おおいに食指を動かされていた模様だ。 それよりあとの世代は、「ビトゥルボE(1987年)」「222E(1989年)」「222SE(1991年)」「スパイダーザガート(1991年)」、それに「クワトロポルテⅣ(1998年)」も、心惹かれる存在だったと言っていた。