人間ドックで「歩行姿勢」をチェック 長野の病院が全国初導入
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人の歩き方を調べて病気治療や健康維持に生かそうと、長野県佐久市の佐久総合病院が全国で初めて人間ドックに「歩行姿勢検診」のメニューを導入、7月から検診を始めました。腰痛やひざの痛みに悩む患者の歩行姿勢の特徴や問題点を精密な計測機器で調べ、治療や指導に生かします。検診への導入は、地元のセンサー・計測器メーカーによる画期的な小型計測装置の開発がきっかけ。全国への普及も始まっています。 【写真】在宅介護にかかる総費用は400万円! じつは一番気になる介護のお金
地元企業が計測装置の小型化に成功
佐久総合病院はこれまで1泊の人間ドックでピロリ菌検査やマンモグラフィ、甲状腺検査、リウマチ検査、骨密度検査など20数項目のオプション検査を用意していましたが、新たに料金3240円で「歩行姿勢検診」を加えました。 これまで歩行姿勢検診がドックのメニューに入りにくかったのは、検査機材が大掛かりだったため。同病院理学療法科の市川彰技師長によると、これまでにも数台のカメラを据え付けて人間の歩行をとらえて解析する装置はあったが、あまりに大型で移動は困難。しかも処理速度も遅く、価格も数千万円と高くなり簡単に医療現場では使えませんでした。 新開発の小型計測装置は、佐久総合病院の地元のマイクロストーン株式会社(長野県佐久市新子田=あらこだ)が同病院の小型化への期待を知って3年前から開発。体の動く速度の変化をとらえる加速度センサーと体の回転の速さをとらえるジャイロセンサーを組み合わせて、人間の歩く動作を精密にとらえ、送られた信号でパソコン上に瞬時に図形で表せるコンパクトなシステムを完成させました。しかも価格は一式47万円と“激安”。
介護老人に多い関節系の故障の予防目指す
実際の検査は、4.5センチ角ほどの小さなセンサーを被検者の背中のほぼ中央と、腰の仙骨部分にベルトなどで留め、自然に10メートルほど歩いてもらいます。その動作の記録情報はセンサーから解析機器に送られ、動きの軌跡が赤と青の線でパソコン上に表示されます。 この記録をもとに理学療法士などがその場で患者に歩行の特徴や問題点を指摘でき、患者も専門家とともにデータを見て理解することができます。同病院では7月の検査開始以来、毎日4人が受検。「腰が曲がっている、ひざが痛いなどの理由で検査を受ける60代の女性が多い」と同病院。当面、1日5人前後のペースで検診を軌道に乗せていく方針です。