【薬剤師解説】妊婦が禁忌とされている薬10種類を解説!ロキソニンなど市販薬も注意が必要
妊婦になると慎重になるもののひとつが薬選び。自分の健康も大切ですが、子どもが健康で生まれてくることも大切です。「妊婦が避けるべき薬は?」「どういった薬に気を付ければいいのか?」という疑問について、薬剤師の増田さんに解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
妊娠中に薬の服用が要注意なのはなぜ? 副作用はある?
編集部: 妊娠している場合の薬の服用は子どもに影響するといわれるのはなぜですか? 増田さん: 妊娠中は、胎盤を経由して母親が食べたものの栄養素や薬の成分が子どもに移動します。このとき、服用する薬によっては子どもの体の形成を妨げてしまう場合があるためです。 編集部: 母親が飲んだ薬で、子どもに対して起こりうる副作用にはどのようなものがありますか? 増田さん: 例えば、脳を形成する時期に子どもへ影響する薬を飲んでしまうと、脳が作られなくなるなどがあります。また、体が形成したあとであっても、その薬の大人にとっての主作用が子どもにおいて副作用として働くことがあります。 編集部: 胎児に影響が出るのは怖いですね。妊婦は薬を飲まないほうがいいのでしょうか? 増田さん: 妊娠中でも使える薬はありますので、しっかりと説明書や文献をチェックして薬を使用すれば問題ありません。
妊婦が禁忌とされている薬10種類を解説 どんな薬に注意すればいい?
編集部: それでは妊婦が飲まないようにすべき薬にはどんなものがありますか? 増田さん: 妊婦禁忌の薬はいくつかあり、妊娠の可能性がある若い年齢で使われやすい以下の5つについてまず説明します。 ①解熱鎮痛剤 ②アタラックス(抗アレルギー性精神安定剤) ③男性・女性ホルモン剤 ④抗真菌薬 ⑤抗生物質 編集部: 解熱鎮痛剤は市販で売ってあるので、妊娠中に風邪をひいたときによく飲まれる薬ですね。 増田さん: はい。市販の中でも「ロキソニン」はよく使われる薬だと思いますが、注意が必要です。また、「アタラックス」は皮膚科でかゆみを抑えるために出されます。これには、精神を落ち着かせる作用と抗アレルギー作用があり、かゆみを鎮めてくれますが、妊娠中は飲まないようにしましょう。 編集部: ホルモン剤は想像しやすいですが、具体的にどうしてだめなのか知りたいです。 増田さん: 男性ホルモン剤には男性器を作る作用が、女性ホルモン剤は女性器を作る作用があり、胎児の形成期に服用することで女の子なのに男性器が作られてしまう、あるいはその逆も起こる可能性があるためです。ただし、妊娠に気付かず誤って服用し続けていても、長期間でなければすぐにそのような形成不全が起こることはありません。 編集部: 最後の抗真菌薬・抗生物質についても教えてください。 増田さん: 抗真菌薬が胎児に移行してしまった場合、肝機能の低下が考えられます。子どもの肝臓がまだ発達していない場合、すぐに薬を中止すれば問題ありませんが、注意しておきましょう。抗真菌薬を使う場合は塗り薬にとどめておくのが安全です。抗生物質は骨の形成を妨げることがあります。抗生物質は短期間の使用が一般的であり長期化しなければ胎児への影響は少ないですが、必要ない場合は無理に使うことは避けてください。 編集部: ほかにも禁忌な薬を教えてください。 増田さん: ほかにも以下の5つがあります。 ⑥ワーファリン ⑦エトレチナート ⑧リバビリン ⑨トリアゾラム ⑩エルゴタミン 「ワーファリン」は血液をさらさらにする薬ですが胎児の催奇形性や流産率を高める原因になります。「エトレチナート」は角化症や乾癬治療で使われるもので、やむなく必要と判断される場合を除いて使用は禁止です。「リバビリン」はC型肝炎の方に使われますが、妊娠の可能性・行為を行う際は避妊を徹底します。トリアゾラムは睡眠薬ですが、妊娠中は飲まないようにしてください。最後に「エルゴタミン」は子宮を収縮する作用と胎盤への血液を滞らせる血管収縮作用があり、妊娠中の使用はできません。