海外学生が武将隊ビジネスに注目!名古屋のインバウンド観光の可能性
2020年、東京オリンピック開催―。外国人観光客の誘致を促進するインバウンド観光に力を入れるには絶好の機会であり、これからどんどん注目を集めることが予想される。そんな中、去る6月には名古屋のインバウンド観光に注目した海外の学生が日本を訪れ、「名古屋おもてなし武将隊」を題材に研究発表会を行った。 ■海外から注目される武将隊ビジネス 2013年に日本を訪れた外国人観光客は約1036万人。2003年の小泉政権下で始まった「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の目標である1000万人という大台を初めて突破(2003年の外国人観光客は約521万人)。さらに、東京オリンピック開催を追い風として、政府は2020年までに「訪日外国人旅行者2000万人」を目指し、外国人観光客誘致に向けた取り組みを積極的に進めている。 名古屋の魅力を全国に発信するべく、地元にゆかりのある六武将と四陣笠で活動する「名古屋おもてなし武将隊」は、2009年に結成された。彼らは甲冑を身に着けるだけでなく、言葉や歴史をも身に着けるように武将本人になりきり、エンターテインメント性の高いパフォーマンスで観光客をもてなす。現在も、全国の武将隊ブームの先駆けとして、日々新しいことに挑戦。数々の海外遠征もこなしており、海外からの注目度も高まっている。 6月に海外の大学生が日本を訪れて開催した研究発表会は、名古屋の観光と武将隊ビジネスがテーマに挙げられた。参加したのは、ウィッテンバーグ大学(アメリカ)、ロンドン・サウスバンク大学(イギリス)、香港科技大学(香港)、そして関西外国語大学(日本)の学生、計33人。海外の学生らは6月12~21日の10日間、日本に滞在。大学生が国籍を超えて知恵を出し合うコンペの開催は日本では初めての試みという。
期間中、学生らは名古屋城を訪れ、武将隊と交流。武将隊のパフォーマンスを見た海外の学生からは、「迫力があった」「昔にタイムスリップしたかのようだった」「名古屋を盛り上げていこうという熱い思いに感動した」という声が挙がった。その一方で、「日本語がわからなかった」「英語でもやってくれたら理解できてもっと楽しめるかも」との感想も。 これに対し、「多言語化は必須だと改めて感じました」と語るのは、名古屋おもてなし武将隊を手がける広告代理店・三晃社の営業開発局コンテンツ開発部チーフの堂原有美さん。彼女は、武将隊ビジネスを一から作り上げてきた一人だ。 「海外の人たちは、英語や自国言語のあるところに行く。あまり有名でない場所でも海外の人を多く見かけることがありますが、それは英語や多言語対応をしているから。多言語化は日本ではまだまだ未開拓の領域だから率先すべき」と前向きな様子を見せる。