『虎に翼』よね&轟の“最強タッグ”が誕生 “自分らしさ”に向き合ってきた2人の共通点
寅子(伊藤沙莉)にインパクトを残した轟(戸塚純貴)の第一声
同じく寅子にインパクトある第一声を浴びせたのが轟の「男と女が分かり合えるはずがないだろう」だ。しかしながら、彼もまた意固地なのではなく、“男たるもの女性や弱きを守る優しさを兼ね備えている必要がある”という価値観をただただ自身に課し、愚直に体現していただけだった。 実際には彼が“漢らしさ”と思っていた優しさや強さは性別によらないことに気づくと、すぐさまそれを言語化できる素直さを持ち合わせているのが轟の魅力だ。“男らしさ”にこだわりがあるかに見えた轟だが、彼の場合には権威的な強さを求めていたのではなく、他人へのフラットな眼差しの上で成り立つ優しさや公平さを大切にしたいのだろうことがよく伝わってきた。一見したところデリカシーがないかに見える轟だが、実際はよく人のことを見ており、さりげない変化も人一倍敏感に察知することができる。 そんな2人が「男も女も人種も家柄も貧乏人も金持ちも上も下もなくて横並びである」が前提で当たり前の世の中であることを謳った新憲法を共になぞるシーンは印象的だった。誤解を恐れず、忖度はせず、自分の心に忠実であろうとする轟とよねは、まさにこれからの時代に求められる最強タッグだろう。きっと多くの人たちがこれまで信じていた“自分らしさ”を封印したり曲げざるを得なかった戦時中を経て、改めてその“自分らしさ”を再構築していく戦後。今こそ2人に出会えて救われる人がきっと大勢いるに違いない。
佳香(かこ)