農産物盗難防ぐには? センサーや看板 低コストでも対策
”防犯姿勢”認識させて
「毎年のようにブドウが盗まれてしまう。対策を教えてください」。栃木県の男性(63)から、本紙「農家の特報班」に調査依頼が届いた。自宅からやや離れた場所に園地があり、できれば、あまり費用をかけずに対策がしたいという。 農水省で盗難防止対策を担当する園芸作物課に尋ねると、「まずは日々の作業を見直してほしい」という。例えば、脚立や収穫用コンテナは、園地を離れる際に撤去する。犯人が使うのを防ぐためだ。ハウスや倉庫の出入り口に加え、窓も小まめに施錠。不審な車両を見たらナンバーを控え、警察に通報する。 作業時に農園の名前を明記した腕章を付けたり、車両にステッカーを貼ったりするのもよいという。不審な人物や車両を区別しやすくするためで、特に、従業員を雇用する場合に有効だ。徹底すると「いつもの腕章がなく、怪しい」と近隣住民も気付きやすくなる。
「犯人はほぼ確実に下見する」
果樹産地を抱える山梨県警は、防犯グッズの活用を促す。「犯人はほぼ確実に下見をする。防犯対策をしていると思わせることが大切」(生活安全企画課)。標的にされにくくなるという。人の動きを感知して作動するセンサーライト・警報器は2000円程度から、防犯カメラは5000円程度から、インターネットやホームセンターなどで購入できる。 防犯カメラは、園地内や外周を網羅的に設置するのが理想だが、費用がかかる。車両のナンバープレートが映ると犯人を特定しやすいため、車道側が映る位置に設置すると効率的だ。ダミーのカメラも「何も対策をしないよりは効果が期待できる」(同課)。ネットで1000円程度で買える。 農地には電源がないこともあるため、防犯グッズは太陽光発電パネルで動くものを選ぶとよい。コンセントから給電するより数千円高い商品もあるが、配線工事をするよりも費用を抑えられる。 併せて「防犯カメラ録画中」などと書いた看板やのぼり旗を道路から見えるように設置し、警戒している姿勢を示すのも有効だ。犯人は外国人の場合もあるため、英語やピクトグラム(絵文字)を使うとよいという。