福田雄一監督「久しぶりに笑いだけ」の幸せ語る 「聖☆おにいさん THE MOVIE」
「聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンvs悪魔軍団」は、福田雄一監督(56)が自身のエッセンスを、これでもかと詰め込んだコメディー映画。〝福田組〟の面々が総出で、大暴れ、いや、ゆる~く笑いの技を競い合う。「ギャグしかない作品を撮ったのは久しぶり」と福田監督は満足そうに笑う。 山田孝之主演のドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ(テレビ東京系)で注目された福田監督。ムロツヨシ、佐藤二朗は、このドラマの〝怪演〟を契機に世に出たといってもいい。 その山田、ムロ、佐藤に加え、賀来賢人、仲野太賀、山本美月ら福田組の面々が顔をそろえたのが、この「聖☆おにいさん-」だ。 中村光の漫画が原作。神の子イエスと仏の悟りを開いたブッダが東京・立川の風呂なし6畳1間のアパートで、下界のバカンスを満喫している。2人のなんでもない日常を描く。 イエスに松山ケンイチ、ブッダが染谷将太。ほかに神木隆之介、川口春奈、窪田正孝、藤原竜也ら主役級の俳優が続々と登場し、やはり怪演を繰り広げる。 「これだけの俳優が出てくれて、ありがたかったですね」と福田監督。「とはいえ、こんな笑いだけの映画を大手の東宝が配給してくれるなんて謎です」と言って笑う。 確かに恋愛もアクションもない。あるのは、くすりとさせられる笑いだけだ。「僕もここまで笑いに徹したのはヨシヒコぐらい。ヨシヒコ以来の幸せをかみしめながら撮りました」と振り返る。 「笑いを作る職人」と自身の監督としてのポリシーを語る。芝居は役者の裁量に全面的に任せる。 「だから役作りに関する質問は受け付けないし、ここに座れとか立てとか指示もしない。皆が考えたものを持ち寄ってもらったほうが、絶対に面白いものができるはずだから」 例えば今回、佐藤が9分間にわたって語り続ける場面がある。台本通りなら2分間ほどで終わるが、佐藤がやりたいように任せた。 「〝福田組〟って、自由なことがしたい役者さんにとってはパラダイスだと思う」と語る。 もっとも「僕はムロ君と佐藤二朗にだけは『面白くなくなった』と思われたくない。2人も僕から『面白くねえな』と言われたくないはず」と話し、自由だからこその真剣勝負が行われていることも明かす。